政府見通しでは2014年度GDPは実質-0.5%だが2015年度は名目2.7%のプラスだという。

 読売新聞朝刊第一面にの記事によると、政府見通しで2014年度GDPは-0.5%の見通しだが、2015年度の名目GDPは2.7%だという。何となく日本のGDPに消費増税は大した影響を与えていないかのような記事だが、実は書き手による数字のトリックがそこに潜ませていることにお気付きだろうか。
 前半の2914年度の-0.5%は実質だが、後半の2015年度2.7%増は名目だ。つまり前半の数字は2014年度のインフレータを除いた数字で、2015年度の数字はインフレータ込の数字だということだ。前半の数字を名目で表せば数字的な落ち込みはもっと酷いだろうし、2015年度の2.7%を上回るインフレータを予想していれば実質にはマイナス成長ということになる。

 読売新聞は適切な記事を書くべきだし、前半で実質を用いているのなら、後半の数字も実質を用いるべきだ。土俵を同じにしなければ景気が上向くのか、それとも引き続き停滞したままなのかも読み手には解らない。
 いや、あるいは曲解して頂くためにわざと名目と実質の数字を織り交ぜて記事を書き「嘘は書いていない」とのアリバイ工作の下に読み手に誤解を与えるのが目的ではないかと勘繰らざるを得ない。

 今年の数字までも名目を用いればGDPはプラスだろうが、それでは国民が肌で感じている生活実感と乖離が大きいから実質をもちいらざるを得ないが、今年の四月からのことは何とでもいえるから名目で2.7%のプラスと書いておけば消費増税の影響も一年で終わったと国民は受け止めるだろうと政府・財務官僚はタカを括っているのだろう。
 しかし原油価格が暴落して回復の見通せない現状で、世界の実体経済も世界金融もダウンサイジングせざるを得ない現状にあるという分析を財務官僚・政府は経済見通しに反映させているのだろうか。世界経済がダウンサイジングする中で日本経済だけが拡大を続けるとは決して思えない。

 厳冬期に当たる「景気後退のインフレ」という最悪の事態へと日本経済は突入しようとしていると殆どの経済学者たちは考えているはずだ。彼らがマトモな頭脳を持っているなら、消費増税を撤回して5%に戻し、さらに個人所得減税をすべきと政府に勧告するはずだ。
 富裕層にかつてのような超過累進税率を適用すれば富裕層が国外へ転出すると指摘する評論家がいるが、国外へ富裕層が転出しようが富裕層にかつての超過累進税率を復活すべきだ。彼らが国外に住民票を移そうが、国内で発生した所得には国内の所得税法が適用されるから、何ら問題ではない。彼らがタックスヘブンの国で稼げる事業はないのだから、便宜的に移民しようと構わない。それよりもむしろ「移民した人たち」をマスメディアは公表することだ。日本国内の仕組みと経済で稼いだ人たちが日本に税の支払いを渋って国外へ住所を移したことを国民が知ればそれなりの人たちだと国民は思うだろう。それこそが大事ではないだろうか。

 巧みに実質と名目の数字を使い分ける政府とマスメディアはスウェーデンの消費税は25%だということだけを伝えて、食糧品等は7%で医療費や教育費は無料だということを伝えないのと同じ日本国民世論の誘導策を行っていると批判されても仕方ないだろう。
 かつて日本でも物品税があった当時は贅沢品には30%を超える「物品税」が課されていた。消費税を廃止してかつての物品税に戻す方が国民生活にとってどれほど良いだろうか。ことに貧困層にとってその方が望ましいし「応能負担」原則からしても、その方が税の本来のあり方ではないだろうか。

 ともあれ、消費増税を断行して、安倍自公政権は金の卵を産む鶏を殺そうとしている。何とも愚かな政策判断をしたものだ。


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