これ以上の円安は国民生活にとって危険だ。

 ついに1ドルが120円を超えた。7年ぶりだという。異次元金融緩和により日本の通貨『円』だけが世界で切下げられている。
 経済的な好・不調による為替相場の変動ではなく、通貨発行量による為替相場の下落も異常な円高と同じく、やはり異常なものでしかない。評論家たちはシタリ顔で円安の原因を好調な米国の年末商戦や現有価格の下落や選挙予測で安倍政権優位のため金融緩和策が続くと予測しているための3つの原因をあげている。

 しかし120円の円安は多くの食料を輸入に頼る日本の国民生活を直撃しないわけはない。それに対しても日銀は2%の物価上昇を目指していたのだから、順調に推移している、と分析する評論家たちの視野には困窮する国民生活が見えていないようだ。
 本来、円安の効果として輸出が増えて輸出関連企業が好調となり日本経済が改善されると絵を描いていた。しかし輸出関連企業の多くが円高の間に海外展開してしまって、円安となってむしろ悪影響を蒙っている。つまり労働単価の安い海外で製造して日本へ輸入すれば為替差益だけで儲かる、という経営モデルが、円安により逆に作用している。海外展開している企業は海外で製造して日本へ「輸入」すれば為替差損を出すか、「輸入」した製品を値上げするしかない。

 そうした物価上昇を金融緩和によるデフレ経済からの脱却だ、と日銀が喝采をあげているとしたら国民を苦しめる悪性インフレを起こしているだけだという認識が欠落した危険な金融政策だと批判せざるを得ない。
 なぜ政府と日銀が連動してデフレ経済から脱却して経済成長局面へと日本経済を転換するのだと強い意志を持っていないのだろうか。日銀は所詮通貨発行量による金融策しか手中にしていない。具体的な経済政策は政府の手の中にある。その政府が無能なら、国民は通貨下落による悪性インフレに苦しめられるだけだ。

 しかし経済評論家たちも嘘を平気で吐くようになった。元来、米国経済が改善されると日本の『円』は上向きに振れた。なぜなら日本からの輸入が増えると予想されたからだ。そして原油安も『円』を上向きに振れさせる大きな要因だった。なぜなら原油安により日本国内の物流コストや製造コストが引き下げられ、日本国内の企業収益が改善されて労働分配率が同じなら労働者所得や税収が増えると見なされるから『円』は買われるのが普通だ。
 そうした円高要因がすべて異次元金融緩和によりチャラになり、さらに円安へと振れているのは『円』が異常な事態に突入していると認識するのが正常な判断のはずだ。御用評論家たちはアベノミクスを持ち上げ、選挙で安倍政権を勝たそうと躍起になってバンドワゴン効果(「勝ち馬に乗れ」効果)を演出している。評論家たちは危険水域に踏み込んでいる日本の金融当局の通貨下落策を何処まで傍観するつもりだろうか。

 そもそも日銀はその長い歴史のほとんどを悪性インフレと戦ってきた。いかにしてインフレを抑え込んで国民生活を安定させ、同時に経済の主力エンジンたる国民消費を冷え暇させないかという微妙な舵取りに腐心してきた。
 黒田日銀は限度知らずの単細胞のような。『円』を危険水域に落とし込む紙幣増刷・垂れ流しを続けてハイパーインフレが突如として始まったなら取り返しがつかない事態になる、というのが解らないのだろうか。かつてのオイルショックの経験を忘れたのだろうか。今回は『円』が40%近く下落しても(裏返せば国内輸入物資が40%近く高騰しても)、原油価格の50%以上もの下落によりクッションとなってハイパーインフレ要因が緩和されているだけだという認識がないとしたら、オペック頼みの原油価格が上昇に転じたなら、その時点で日本経済は未曽有のインフレを経験することになる、という危機意識を日銀当局は勿論のこと、経済学者や評論家たちや政治家諸氏は当然持つべきだ。そういう認識もないとしたらアホノミクスに踊らされるだけのアホの集団というしかない。そして選挙による選択とそれに基づく政権運営の責任はすべて国民に負わされるだけだ。


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