「ボクちゃん、やってるよ」という掛け声だけの政治。

 この国のマスメディアをして、実態は異次元金融緩和っというマネーゲームに過ぎないアベノミクスがさも、この国にとって乾坤一擲の景気打開策のように喧伝させた安倍氏の手腕には舌を巻く。そして今度は地方創生という言葉のマジックショーだ。
 地方で30万人雇用創出と女性の社会進出により第一子出産後の就業率を現行の38%から55%に引き上げるという。同時に2060年の人口は一億人を維持するという。フリーターの数を182万人から124万人に減らすという。今回の派遣業法の規制撤廃により派遣従事者は劇的に増加すると思われるが、派遣社員とフリーターは同じだとしたら、将来増えこそすれ減少するはずがない。

 画餅とはまさしく安倍政権の打ち出す政策だ。地方創生策にしたところで、現在取り沙汰されている政策はかつて実施された「中心市街地活性化策」や「第○次土全総」などの焼き直しに過ぎない。自立するにはあまりに体力を消耗しすぎ、凋落した経済基盤を立て直すには殆ど効果のない政策ばかりだ。
 なぜ地方自治体が衰退したのか、という分析すら満足にできていない。東京一極集中と交通網、とりわけ新幹線の延伸に伴い地方の主要都市にあった支店や営業所が相次いで撤退し、大都市の支社に統合されたのが大きく影響しているのを看過しすぎてはいないだろうか。

 駅前支店経済といわれた消費経済が消滅したことにより、駅前繁華街が凋落して若者を引き付ける魅力を失った。どこの地方都市でも良い、午後九時を回った駅前を歩いてみると良い。人っ子一人いない歩道が寒々としている光景を目にするだろう。かつて昭和末までは週末ともなれば、どの地方都市でもほろ酔い機嫌の人たちが駅前の歩道を大勢歩いていたものだ。
 シャッター通りになった駅前の空き店舗に補助金を投じて喫茶店を開店させても、落語の樽酒を買ってきて酒屋をやろうとする呑助の噺と同じことだ。喫茶店ごっこは所詮喫茶店ごっこに過ぎない。地方の創生には補助金にぶら下がる「ごっこ」ではなく、若者の生活を長期的に安定して支える雇用の場が必要だ。

 なぜUターン投資減税をやらないのだろうか。日本企業に海外移転を促進しても、企業は安価な労働力により利益を得るかもしれないが、日本国民にとって良いことは何一つない。日本企業を国内へ回帰させることが何よりの景気回復になる。
 国内の「殖産興業」策を充実させなければ、海外移転した数万社もの企業の穴を埋めることはできない。海外移転熱を煽った評論家やコンサルタントやシンクタンクの似非・専門家たちは大いに自己批判すべきだ。国内産業が空洞化して若者の多くが非正規雇用しかなくなって、何が国家繁栄だ。

 安倍氏はポーズだけの政治ではなく、実を伴う政策を推進すべきだ。あなたの先輩諸氏がいかに「殖産興業」に心を砕いたが。同郷の初代総理・伊藤博文は大蔵官僚だった明治四年に仏国から「製糸場の共同経営」を持ち掛けられ、即座に拒否している。
 彼は日本国の産業資本形成こそが喫緊の課題だと知っていた。そして「共同経営」とは所詮欧米諸国の植民地化の第一歩であることも熟知していた。そして翌五年に富岡製糸場を官営で起業し、製糸場の建設と運営の技師を仏国から「雇い入れ」ている。そうした明治の政治家たちの気概を現代の政治家諸氏は忘れてはならない。


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