ハイドロメタンの実用化を急げ。

 原油価格下落がさも異常であるかのように深刻そうな顔をして解説してみせる経済評論家をテレビで見ると思わず首を傾げる。「一体お前は誰の意見を代表しているのか」と訊いてみたくて仕方ない。
 確かに産油国は深刻な事態に陥っている。特に経済が脆弱で原油輸出に大きく依存していた経済後進国のロシアは深刻そのものだ。外国投機資金や外資の流出を食い止めるために利率を17%まで引き上げたという。殆ど経済は壊滅的で、対ドル・ルーブルは半値まで下落した。当然のように寒冷地ゆえに輸入に頼っている食料はスーパーなどの売り場から消え、残っている食料品も10%近く値上がりしている。

 ロシアは極端な格差社会で、原油や天然ガスを所有している一握りの富裕層が国家の富の過半数を貪っていた。プーチンもそうした富裕層の安定した支持を得て、年限に定まりのある大統領から首相へそしてまた大統領になり終身制を敷いて永久政権化したが、そうした民主主義を破壊する行為そのものが国家の近代化に反するものだ。
 その成果が原油価格下落により国民経済の脆弱さを露呈した。ロシア経済の混乱はウクライナ制裁どころではない。凍えるような冬季をいかにして乗り切るか、何年か前の冬にプーチンは天然ガスのバブルを閉めて北欧州を中心に凍えさせて脅したが、今度は空腹と生活苦に悩む国民によってプーチンが追いつめられる番だ。

 だが、そもそも1バレル100ドルを超える原油価格そのものが異常だったというべきだ。昭和40年当初まで1バレル1ドルでしかなかった。それがオイルショックで14ドルになり、第二次オイルショックで30ドルを超えた。その後も世界のドル紙幣を中東に集める強欲な産油国の原油価格吊上げと、その原油利権に食らいつく米国のハゲ鷹投機家たちの思惑により中東が火薬庫になって半世紀が経過している。
 そうした歪な原油資源の地域偏重による富の偏在は是正されてしかるべきだ。米国はそうした動きに出るべく、シェルオイルを開発して自前で原油を賄う戦略に転じていた。エネルギーのみならず素材原料でもある石油化学原料=原油は今後とも化学工業にとって必要不可欠だ。その供給を原油に頼るのではなく、日本は近海の海底に大量に埋蔵されているハイドロメタンの実用化へ急ぐべきだ。

 原油価格の下落は日本経済と国民の生活にとって悪いことは何もない。評論家諸氏が深刻そうな顔をして「逆オイルショックだ」と評すのは解せない。
 確かに株価は下がるだろう。日本の株高は何も日本経済の好調さを反映したものではなく、円安による為替相場を通した大バーゲンセールに外資、とりわけハゲ鷹投機家たちが群がったに過ぎない。そこに安倍氏が年金基金のエサまで大量にばら撒いたから異常加熱していただけだ。実体経済と因果関係があって株高に連動したものではない「株高」は日銀のマネーゲームでしかない。その原資は国民の富で、散々食い散らかされて御仕舞のようだ。

 こうした思惑だけの皮相な投機資金の動きに一喜一憂するような愚かな首相を戴き、彼の「アベノミクスだ」と主張していた株高が単なるマネーゲームでしかなかったと国民も実態を知るべきだ。
 日本はそうしたハゲ鷹の仲間入りをするのではなく、「国民の生活が第一」の政治を政治家は命懸けで行うべきだ。その観点からすれば原油価格の下落は異常だった資源高が是正される第一歩だと心すべきだ。

 砂漠に砂上の楼閣さながらの大都市が忽然と出現するのは異常な光景だ。そしてそれを可能ならしめているのが1バレル100ドルを超える原油だった。そうした異常事態がいつまでも続くわけがない、と考えるのが常識ではないだろうか。


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