法人税の改悪に反対する。

 法人税率を20%台に引き下げるが、赤字法人にも資本金の2.5%程度に課税を強化するという。法人税率を引き下げて経済成長への「好循環」を確保する、というのが引き下げの理由だが、法人税の引き下げがなぜ「好循環」をもたらすのか、因果関係は落語の「風が吹けば桶屋」以上に意味不明た。
 しかも基礎的な外形課税を当初は2%程度にするが、後々は2.5%に引き上げるという。赤字法人であろうと「社会的な資源」を消費しているのだから、存在しているだけで税を支払えという考えだ。それはかつての人頭税に匹敵する考えで、人の一人一人に「生きているのは何がしかの支配者の恩恵に与っているからだ」として課した人頭税に匹敵する悪税だ。

 赤字法人は、しかしまったく税を支払っていないわけではない。従業員を雇用していればそれだけで給与を通して「所得税」や「住民税」が支払われている。法人そのものも微々たるものだが事業税などは均等割りを支払っている。
 赤字法人への課税を強化して良いことが何かあるのだろうか。法人の存在そのものが危うくなれば元も子もなくすことになる。「応能負担」が税の原則だ。負担する能力のあるものに税を負担して頂く、という原則を忘れて、負担する能力のある者の税を軽減し、負担する能力を欠くものにも税を強化するのは基本的な課税哲学の変更に思えてならない。

 そもそも消費税は人頭税に近い。人は存在している限り、食料や燃料などの消費財を消費しないではいられない。そこに目をつけて課税する「消費税」はまさしく中世的な人頭税の発想だ。
 本来なら裕福な者に対して応能負担して頂くのが税の本来的な姿だ。しかし日本は富裕層に対して最高税率の引き下げに狂奔し、課税最低所得の引き上げに躍起になっている。それが「平等」であるかのような誤った概念の教宣にマスメディアは総力を挙げてきた。結果として消費税に対する拒否反応が鈍り、それを以て国民が受け入れたと治世者たちは見做している。

 この国はグローバル化の名の下に熾烈な1%対99%の対立構造に巻き込まれている。すべては米国を支配している新自由主義、市場原理主義の蔓延が日本に及んでいる結果だ。長年かけて国民が権利として確立していた様々な「格差是正」の仕掛けが壊されている。
 派遣業などは法により厳格に禁じられていた。かつて職業安定法違反として「タコ部屋」が何件摘発されただろうか。現代の「タコ部屋」は派遣業者だ。しかも派遣業者は仕事がなくなればその日にでも打ち切る。「タコ部屋」は仕事がなくなっても当分はメシを食わせていた。現代の派遣業者の方が「タコ部屋」よりも過酷だ。しかしなんとなく派遣業者は現代社会の要請だと国民は是認させられている。飛んでもない情報操作によって、国民は集団催眠にかかり現代の「タコ部屋」を受け容れさせられているに過ぎない。

 法人税率を引き下げれば「景気の好循環」になる、という根拠は何もない。労働の対価などを支払った残りが法人の利益だから、労働分配率引き上げの動機にはならない。投資は損金にならないから法人税率の引き下げが投資の誘導になるという御用学者はいるが、それなら合目的な「投資減税」のピンポイント策を実施すれば済む話だ。
 消費増税をやって景気の主力エンジンたる国民の個人消費を痛めつけて、景気にとって補助エンジンにもならない法人税を引き下げるとはお門違いも甚だしい。国民はこうしたマスメディアに垂れ流される騙しのような税制議論の嘘を看破しなければならない。日本のマスメディアは国民の見方ではなく、所詮は1%の側の犬だということを忘れてはならない。


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