再びTPP参加に反対する。

<環太平洋パートナーシップ協定(TPP)は昨年に続き再び、12カ国の交渉が越年する見通しとなった。関税やルール分野で、なお難題が残されているためだ。ただ、交渉が「急速に進展」(甘利明TPP担当相)しているのも事実。現在の交渉の勢いを保って漂流の危機を回避し、年明け以降の早期合意の道筋をつけられるかが課題となる>(以上「毎日」新聞』引用)

 TPPは強欲な米国のハゲ鷹投機家の要請による側面が強い。つまりTPP参加国の関税を完全撤廃することは勿論だが、目的の本質は参加全ての国内制度を米国流にすることにある。
 米国の基準による投資が自由にできる広範な経済地域を構築することは、ハゲ鷹投機家たちにとってドル通貨を基軸とする経済圏の内の環太平洋諸国が投機対象として「拓かれる」ことになるからだ。その主眼目はもちろん日本にある。日本市場の特殊性を徹底して破壊し、米国流の投機基準が通用する自由な投機対象地域に加えることにある。

 そのためには米国の穀物メジャーが支配する日本の穀物市場を米国流にするために、関税障壁や非関税障壁を徹底して破壊することにある。それを「破壊」と表現するのではなく、「自由」と表現することに彼らの腐心が現れている。
 基本合意が交わされれば、当初設けられる「セーフガード」などは脆い抵抗に過ぎない。コメや食肉が大量流入した場合などに設定予定とされる「セーフガード」などは数年も待たずして米国の圧力により撤廃されるだろう。ただ米国内の自動車産業を守るための「セーフガード」は米国得意のダブルスタンダードにより「温存」され続けるに違いない。

 江戸末期に国際交易に無知な幕閣に付け込んで米国のハリスが徳川幕府と交わした「日米修好通商条約」がいかに日本の関税自主権を無視した不平等条約であったかを忘れてはならない。明治政府がどれほどの艱難辛苦を乗り越えて、関税自主権を独立国家の権利として取り戻したかを思い出す必要がある。そのために明治政府は鹿鳴館を建設し、帝国ホテルを建設して欧米並みに近代化した日本を欧米大使や駐在員たちに見せつける必要があった。
 彼らの判断基準は極めて現実的で即物的だ。だから大道具仕立ての様な鹿鳴館などが印象操作に有効だったのだ。TPPに参加すれば現実的で即物的な彼らの外交戦略がISD条項という鎧をまとって攻め込んでくる、と予想しなければならない。当然のように米国基準の弁護士資格も認めさせられるだろうし、米国基準の商業契約書や英語表記の標準化も認めさせられるだろう。そして当然のように商業取引は英語を用いることと定められないとも限らない。つまり、経済的な「植民地」にされることを甘受することに他ならない。

 自由貿易協定には賛成だが、TPP参加には反対だ。自由貿易協定は相手国の関税を是認したところから出発している。TPPは相手国の関税どころか非関税障壁までもすべて撤廃するところから議論が出発している。根本哲学が似て非なる、全く異質なものだ。
 そうした原理をわきまえたうえで、TPP参加に賛否を日本国民は表明すべきだ。「そうした流れが国際化なら仕方ない」という長いモノに巻かれろ、という姿勢は断固として取ってはならない。今は日本のマスメディアは対岸の火事のように「赤勝て白勝て」とTPP交渉の紆余曲折を面白がっているが、TPP日本が参加して実施されれば、日本のマスメディアも米国流に押し流されることを覚悟すべきだ。日本のテレビ局が大甘な経営をしても尚且つ莫大な利益を出していることを米国のハゲ鷹たちが知らないと思ったら大間違いだ。ブルブル震えてTPP交渉を見守るべきなのだが、日本の大甘なマスメディア当局者たちはのんびりと千日コウを眺めているだけだ。その裏でいかなる取引がなされるのか、二度目の「日米修好通商条約」にならないとも限らないのに、この危機感の薄さは一体なんだろうか。


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