経済成長なき物価上昇を「悪性インフレ」と呼ぶ。

 昨日(11/17)の「消費増税に関する学識経験者から意見聴取」で10人中8人が「財政規律のために増税は必要だ」という主張したという。誰が選任した「学識経験者」なのか知らないが、現状の日本経済はまさしく「経済成長なき物価上昇」はスタグフレーションという「景気後退下のインフレ」で、最悪の事態だということがお解りでないようだ。
 昨日発表された7-9月期GDP速報値-1.6%はまだまだ最終的には悪い数字になる可能性が高い。つまり日本経済は縮小しているのだ。デフレ経済脱却と称して日銀が壊れた蛇口さながらに国債購入という手段で国内の金融機関にジャブジャブに紙幣をばら撒いても、それらが「経済の血液」として企業設備投資や民間住宅建設投資として使われることなく、金融機関に大量滞留している。

 それは経済政策の失敗そのものを現している。アベノミクスは野党政治家が「アベノミクスは失敗だと認めなさい」と国会で安倍氏に迫る必要はないほど明確に失敗している。
 なぜそうなったのか、それは税制をはじめとする政策のベクトルがすべて景気を浮揚させる方向と逆向きだからだ。デフレ経済から脱却するには個人の可処分所得を増やすことだ。まずは個々の国民を富ませずして個人消費は上向かない。個人所得を増やすには企業の膨大な内部留保を吐き出させるのが一番だ。つまり企業が労働対価として支払う理を削減すると税金が多くかかるようにすべきなのだ。法人税は利益を上げた企業に課される。だから法人税を下げるのではなく、上げるか、少なくとも現状維持が必要だ。

 そのうえで、派遣業法を厳しく規制して、個々の働く日本国民に報いる賃金を企業に支払いを強いるように法改正すべきだ。「恒産なくして恒心なし」とは真理で、国民が結婚して子育てをするには「恒産」と「恒心」が必要だ。明日はどうなるか解らない派遣職で、どうやって個々の国民が自身の未来を長期に展望できるというのだろうか。
 円安は海外展開した企業や工場を国内へ呼び戻す絶好のチャンスだ。政府は異次元金融緩和を日銀が断行すると同時に大胆なUターン投資減税を実行すべきだった。しかし政府が発表した経済特区でのチマチマとした投資減税ですら、現状は机上の空論で国会審議で弄んでいる怠惰ぶりだ。

 昨日の意見聴収会で10人中8人も「財政と社会保障のために10%消費増税を直ちに決断すべき」と発言したようだが、彼らは財務官僚の「国民経済無視」で「歳入財源確保」ありきの、経済学的な考慮が微塵もない無学ぶりを露呈したに過ぎない。10%消費増税をやって経済成長をマイナスにしては元も子もないことを1997年の橋本政権下の3%から5%に消費増税した際の結果を失念しているのだろうか。
 経験に学ばない者を愚か者と呼ぶ。政府がご参集願った「学識経験者」とは経験にすら学ばない愚か者が多くいたということだ。つまり官僚が選任した「学識経験」者とは愚か者だったということだ。消費増税は税収増を目論むもので、経済を悪化させて税収全体で減収になっては国民虐めだけでなく、財務官僚も当初の目論みを外すことになる。ただ、今回は増税を見送っても、国民に「財政規律と社会保障のために増税は必要なのだ」と財務官僚のプロパガンダを国民に刷り込むのには成功したといえるだろう。

 断じて主張しておく、1000兆円を超えた国債を消費増税で償還するのは出来ない相談だ。膨大な発行済み国債を償還するには経済成長による適性インフレによるしかない。つまり現在の円安で「博奕相場」の株式市場に外国投資家が投機資金を流入させているのは、貨幣価値の下落により10000万円していた株が為替相場を通せば7300円ほどまで下落しているからだ。
 3%経済成長して2%インフレがあったとしても国民の暮らしはそれほど痛まない。だが2%インフレということは1000兆円の国債価値は20兆円ほど下がったことと同じだ。そうした経済成長に伴うインフレにより国債を償還するしか方法はない。国民から税を取り立てて償還するという財務官僚の発想では「国民の生活が第一」の政治は永遠に失われ、国民生活が困窮して国家財政も泥沼に嵌まり込むことになる。しかし国家破綻したとしても困るのは年金受給者たちやタックスイーターたちで、国家にお世話になっていない多くの国民はそれほど困難に陥ることはない。

 今回の選挙は消費増税に賛成した政治家を選んではならない。それは今回の判断ことではなく、野合三党合意に賛成したバカな自公民の政治家たちすべてを選んではならないということだ。かれらが現在の「物価上昇下の経済後退」という最悪の事態を招いている。政治家として経済学の入門編で中学校の社会科程度の経済原論すらも理解していないのは致命傷だ。彼らに国民生活を語る資格はない。
 国民生活を語らないとすれば、彼らは財務官僚のパーペットに成り下がるだけだ。実際に財務官僚の操り人形として2009マニフェストで国民と約束した政治家主導の政治をアッサリとかなぐり捨てた有権者背信の似非・政治家たちだ。自公の政治家たちは言わずもがなだ、彼らは8%消費増税を実行した確信犯だ。今回の7-9月期-1.6%は単独で存在するのではない。前回4-6月期の-7.3%に対して更に1.6%下落したということだなのと知るべきだ。政府が発表する数字のマジックに引っ掛けられないように心すべきだ。
 表題を繰り返す、経済成長なき物価上昇を「悪性インフレ」と呼ぶ。悪性インフレは国民所得を削ぎ落し、国民生活を破壊する疫病のようなものだ。長年にわたって政治は「悪性インフレ」と戦ってきた。やっと寝た子を安倍氏のバカノミクスは叩き起こしてしまった。その成果を問う選挙なら、どのように投票すべきかは自明の理ではないだろうか。


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