法定相続権や仮登記にも時効の適用を。

 この頃、不意に他人から相談を受けることがある。ここ一年内でも相続に関して二件ばかり相談に乗った。
 それは地方自治体が廃屋の撤去を条例化していることと関係している。三件目は現在も懸案事項として引き続き調査しているが、明治生まれの母親が平成五年に死亡するまで暮らしていた田舎の家・屋敷に関しての相談だ。

 私を訪ねてきたのは9人兄弟の末っ子で、遠隔地の市から『廃墟撤去」を求める要請が文書で再三なされているという。それで現状確認に高速道路を利用しても二時間かかる田舎へ行ってみると、百坪もある屋敷に母屋と納屋が建ち、他に離れまである。さぞかし昔は『分限者』として地域で人望を集められたことだろうが、既に家々の棟は落ち、シロアリの巣窟となっている。
 庭木は大木となり荒れ放題のジャングルと化して、母屋がブロック塀を隔てて接する9尺道に傾いている。聞けばその道は通学路だという。

 登記簿謄本を見ると昭和三十年代に亡くなった父親から母親に相続され、そのまま放置してある。平成五年に母親が死亡した当時は9人兄弟はすべて生きていたが、それ以降3人なくなったという。その3人のうち大正生まれの長男は子宝に恵まれず、九州から嫁いできた配偶者も数年前に亡くなったという。
 つまり長男の相続分は配偶者の兄弟へ代襲相続されている。しかも配偶者も大正時代の生まれだから調査しなければ解らないが、配偶者の兄弟も亡くなり、その子供たちに代襲相続されている可能性が高い。

 こうして鼠算的に相続人が増加し、彼らのすべてから遺産相続協議書の同意書を印鑑証明付でもらわなければならない。そうしなければ財産処分できない。
 ここで提案だが、法定相続分を20年間主張しなければ時効になる、と定めてはどうだろうか。代襲相続が及ぶのは孫までだが、直系卑属が残り続ける限り、相続分の分裂は限りなく起こることになる。ついには調査だけで百万円を超える事態にもなりかねない。

 相談された土地はかつて『町』だったが平成の大合併により『市』となった。しかし郡部であることに変わりなく、地価は坪単価換算で取引実績4万円程度でしかない。廃屋を処分して、家屋内に放置された莫大な遺留品まで処分すれば土地売却価格を上回ることになる。
 誰がカネを持ち出してまで廃屋処分するというのだろうか。ただ七十近い末っ子は「人様に迷惑はかけられない」と悲壮な覚悟を語っておられる。せめては法定相続人が限定的であるなら、と思うがいかがだろうか。

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