財政再建の財源は「増税や負担増」ではなく、経済成長に求めよ。

 安倍氏が消費税10%への2%増税を一年半ばかり先送りしたことで、全国紙の何社かは「財政再建は大丈夫か」との社説を掲げ、財務省の広報誌よろしく国民に「消費増税不可避」との洗脳を始めた。僅か一年半で5%もの消費税増税こそが異常事態で、すべての国民に負担を強いる消費税を一年半で段階的にといえども倍にするのは国民経済に死を宣告するようなものだ。
 金の卵を産むガチョウの童話がある。強欲な主人が一度に多くの金の卵を手に入れようとガチョウを殺したが腹の中に沢山の金の卵はなかった、「強欲に過ぎると元も子もなくす」という教訓だ。現在の4-6,7-9月期のGDPがそれぞれ年率換算マイナス7.3%とマイナス1.6%という数字だった。これは日本経済が消費増税により縮小している、という異常事態を示している。

 いうまでもなく労働力がなければ1億2千万人の国民の暮らしを支えることは何もできない。国民あってこその国民の暮らしであり、国家だという根本的な視点が「野合の三党合意」に参加したすべての政治家から失われているのではないだろうか。
 消費増税は劇薬だというのを忘れてはならない。消費する国民が生活困窮者であろうとなかろうと、消費が生命を支える最低限のものであろうと贅沢な暮らしを更に彩るものであろうと、一様に強引に徴税する非情な税制だということを忘れてはならない。

 だから、英国では生きるのに必要な食料品などの消費税は「非課税」にしている。スウェーデンなどでも他の品目には25%の消費税を課しているが、食料品には7%程度の軽減税率を適用している。さらにいえば、スウェーデンでは医療費や教育費は「無料」だ。消費税ウンヌンなどの問題ですらない。
 日本はすべての消費に対して8%の消費税を課している。既に世界で最高税率の消費税を国民に課している、という実態をマスメディアは国民に報せないのだろうか。それのみならず、欧州諸国は20%以上の消費税を課していると誤った広報を繰り返し繰り返し実施して、財務省の報道機関よろしく国民に消費税10%もやむなし、との世論誘導をしていると思わざるを得ない。

 財政再建を財務省が本気で考えているのなら、なぜ自分たちの高額年金制度を放棄しようとしないのだろうか。なぜ国民に負担増を求める傍ら、公務員給与を引き上げるなどという暴挙を平気で行うのだろうか。
 財務官僚は人口減社会に突入し、労働人口が毎年100万人規模で減少している国民に対して、税などの負担の限界を見据えることをなぜしないのだろうか。国民は20年にわたるデフレ経済で既に疲弊しきっている。乾いた雑巾をさらに絞って、最後の一滴まで国民から奪い取ろうとしているのが解らないのだろうか。

 財政再建を行うには「経済成長」しかない。経済成長による「自然増」で税収増を図るべきだ。かつて、現行税制よりも緩やかな頃ですら税収70兆円の時代があった。景気が良ければ税収は自然に増える。そして経済成長すれば適正インフレが自然に進む。好況とはインフレを伴うのが常識だ。ただ、そのインフレ率が経済成長率の範囲内でなければならない。
 超過累進税率を復活させて、法人減税ゃ廃止すべきだ。宗教法人も野放図な「非課税」を廃して、宗教施設を狭義に解釈すべきだ。全国に展開する新興宗教法人の「文化会館」が本当に宗教施設といえるのか、実態調査を実施すべきだ。そして一般法人との税の均衡を図るべきだ。

 対前年比増の防長予算を組み続けている限り、春の逃げる陽炎を追いかけているようなものだ。社会保障費が膨張しているから仕方ない、という大嘘に騙されてはならない。一部の既得権益を守ろうとしているから社会保障費は増大しているのだ。
 医療費はカルテの電子化と一元管理により劇的に減少するはずだ。既に全国の総合病院の大半は電子カルテに移行している。開業医院も多くは電子化しているが、一元管理に最も強く反対しているのは開業医だ。彼らは患者の個人情報がダダ漏れになる、と反対しているが、ダダ漏れになっては困るが患者のためにというのなら医療情報は日本の何処でもどの医療機関でも解る方が良い。
 年金会計の膨張も、高額年金をカットすれば良い。勤労者の平均年俸を超えるような年金が果たして公的な社会保障制度の年金と呼べるのだろうか。それこそ既得権のお手盛り年金と呼ぶべきではないだろうか。子育ても終わり教育負担もない老齢者所帯に高額な年金を国家が保障する必要はない。それよりも「国民の生活が第一」と考える政治家なら満額でも生活できない国民年金の方を問題として議論すべきだ。

 財務官僚のやりたい放題をいつまで国民は受け容れるつもりだろうか。安倍政権になって壊れた蛇口のように公共事業を大盤振る舞いしたことにより、様々な弊害が生じていることも見逃してはならない。
 巷間言われている問題のほかに、地方自治体の財政を急速に悪化させている事実をマスメディアは一切報じていないが、公共事業の補助を受けて実施する地方自治体は同額もしくは半額を負担しなければならない。つまり国が7兆円の公共事業予算を組むと、地方自治体も7兆円近い予算を都道府県と市町村で組まなければならないのだ。それに対して地方交付金は全体でいくらあるのか。ネットで調べて頂きたい。その差額は地方自治体の独自財源で手当てするか、地方公債の発行で賄うしかない。つまり借金だ。地方自治体の財政が急速に悪化しているのを問題としない安倍政権は地方創生ではなく、地方破壊政権だという現実をマスメディアが一切報道しないのも不思議だ。国民は選挙では両目を開けてよくよく現実を批判の眼差しで見詰めよう。ユメユメマスメディアの世論誘導報道に騙されてはならない。


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