紛争同時多発の世界は70年前の悲惨な大戦争の記憶を忘れたのだろうか。

 2014年は多事多難な年だった。ロイターはそのことを記事にして配信している。
<外交関係者の緊張は限界に達していると指摘する。ナイジェリアの治安悪化やマレーシア航空機の撃墜、香港の民主化要求デモ、北朝鮮政権内の不穏な動き、スコットランド独立の是非を問う住民投票、中国と周辺国による南シナ海での領有権争いは、いずれも新たな情勢分析と緊急対策の策定が必要だった。
��014年は人道危機も増えた。エボラ出血熱のほか、イラク、シリア、南スーダン、中央アフリカでの情勢悪化など、世界保健機関(WHO)は初めて、5つの危機に同時に対処しなくてはならなかった。
ある英当局者は匿名を条件に「誰もが疲れ切っている」と語った。
��過密日程>
危機対応の最前線に立たされているのは、特に中東を担当する外交関係者だろう。イラクやシリアでは「イスラム国」が台頭し、イスラエルはガザに地上侵攻し、イランの核交渉は思うように進まず、リビアやイエメンでも同時期に危機が発生した。
一部の当局者は、危機的状況が発生するたびに新たな任務を割り当てられた。イエメンの担当者がロシア問題に回されたこともあったという。リビアなどを担当するチームからは、自分たちが忘れられたも同然との不満の声も聞かれた。
こうした危機多発の年は過去にもあった。1991年にはイラクによるクウェート侵攻とモスクワでのクーデター未遂があった。1994年にはボスニアとソマリアとルワンダで危機が重なった。しかし、2014年は火種の範囲の広さという点では突出している>(<>内『ロイター』引用)

 米国の軍当局は兵士の数を57万人の規模から45万人に減少させるのは現実的ではないとして、49万人規模を維持すべきだと表明した。世界各地で同時多発的な発生する紛争に対処するために、米軍は振り回されている。だから対応に遅れがあって良いというものでもない。「イスラム国」のイラク深部まで侵攻を許したのは米国の認識の甘さにあったともいえる。
 ウクライナ東部に地上軍を侵攻させているロシアに対して、米国は経済制裁を課すだけで実戦部隊の派遣は検討していない。経済制裁だけでロシアの野望が踏み止まれるのだろうか。

 露骨な海洋進出を行っている中国に対して、オバマの米国は軍事的な圧力を掛けることなく、経済関係を優先している。それに対して米国民は「弱腰外交」だとオバマ氏を批判している。
 確かにオバマ氏の「弱腰外交」は習近平氏を増長させて「二大国関係」などと荒唐無稽な誇大妄想を抱かせるに到っている。習近平氏の「誇大妄想」は中国民に「誇大妄想」を夢想させることにより社会・経済の崩壊寸前の国難な現実からの逃避のモルヒネ効果を期待してのモノだろう。

 しかし国連安保理の常任理事国が世界的な紛争多発の中の幾つかの当事国になっているとは何ということだろうか。国連は第二次世界大戦の「戦勝国」によって作られた「利害調整機関」だが、その役目さえ追求できない機能不全に陥っているようだ。
 世界は国連に代わる民主的で機能的な国際機関を必要としているのかも知れない。少なくとも特定の国を「大国」と規定して特別な権利を付与するなどという非民主的な運営を行うなどという既得権益擁護体制から脱却すべきだ。

 国際的な紛争は遠い対岸の火事ではない。日本も絶えず渦中に巻き込まれることを想定しておかなければならない。たとえば、鳥インフルが島根県の渡り鳥から発見されたようだ。世界的なパンデミックを引き起こす新型インフルの大流行は足音を忍ばせて近寄っている現実を忘れてはならない。
 エボラ出血熱の高い致死率は恐怖だが、空気感染の新型インフルの比ではない。それに対してエボラ出血熱に対する対応力を見る限り、WHOが有効な手立ては何も打てないと覚悟しておかなければならない。日本は日本国民を守るために日本国内だけでも機能的な対応体制を確立しておく必要がある。国際的には常任理事国に牛耳られている国連の場にしゃしゃり出ることは分を弁えた行為ではないだろう。なにしろ日本は「敵国条項」に規定された敵国だから、国連は常任理事国の利を弁えない振舞いを眺めるしか出来ない。

 紛争同時多発の世界は70年前の悲惨な大戦争の記憶を忘れたのだろうか。「戦勝国」クラブに過ぎない国連は世界平和にとってお飾りほどのモノでしかないのだろう。なぜなら紛争の多くに関わったり当事国になっているのが常任理事国という体たらくだからだ。

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