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<麻生太郎副総理・財務相が22日、中国共産党最高指導部の一人である張高麗副首相と短時間会談した。11月に北京で開くアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議での日中首脳会談への期待が強まっており、日中双方の調整は大詰めを迎えつつある。麻生氏は記者団に「こちらではなく向こう側次第だ」との認識を示した。
 麻生氏は「(APEC財務相会合の)開幕式で、たまたま一緒になったから話をした」と発言したが、実際には双方の事務方が前夜まで「念入りな事前調整」(日中関係筋)に走り回った。中国側は国内世論への影響を考慮し、カメラのないところでの「立ち話」を要請。麻生氏は英語で、張氏は中国語で通訳を介して7~8分間話した。
 安倍晋三首相は繰り返し「日本側はいつも対話の窓を開けている」と述べてきた。だが安倍政権の閣僚が中国の最高指導部に直接、首脳会談を呼びかけたのは初めてだ。
 中国は現在、党幹部が一堂に会する重要会議、党中央委員会第4回全体会議(四中全会)を開催中だ。それにもかかわらず張氏が麻生氏に応対したところに中国側の真剣さがにじむ。日本との関係をいつまでも低迷させていられない事情がある。
 今年1~9月の日本から中国への直接投資額(実行ベース、金融除く)は前年同期と比べ43%も減った。中国の7~9月期の実質国内総生産(GDP)成長率も国内での投資減速が響き、7.3%と5年半ぶりの低い伸びにとどまった。税収難に苦しみ、外資企業の誘致に必死な地方政府では、日本との関係改善を望む声が高まっている。
 もっとも不安材料も依然多く、予断を許さない。沖縄県の尖閣諸島を巡る問題や歴史問題など摩擦の火種は消えていない。菅義偉官房長官が河野洋平元官房長官による従軍慰安婦の強制連行を認める発言を「大きな問題」と批判したことを巡り、中国外務省の華春瑩副報道局長は22日の記者会見で「重大な懸念」を表明。「日本の軍国主義による重大な非人道的犯罪の否定は許されない」と反発した>(以上『日本経済新聞』引用)

 この29日にも福田康夫元首相が北京で習主席と会談するとの報道もある。北京が日本との関係改善に乗り出してきたのは分かるが、ここは日本政府は一段と慎重を期して頂きたい。
 中国が今日の経済発展を遂げたのは勿論中共政府の「改革開放」政策によるところが大きいだろうが、日本政府の資金援助や3万社を超える日本企業進出の投資が寄与したのは否めない。実際に中国経済は貿易に大きく依存した外需頼みのところがあって、その貿易の半分は中国に進出した外国企業が担っている。

 中国こそが平和な世界の恩恵を最も受けている国家だという自覚を持つべきだ。国際関係が円満でなければこれまでの中共政府の中国の発展はなかったし、今後の発展もあり得ない。
 その中共政府がいかなる国際的な判断の下に世界戦略を立てているのか判然としない。なぜなら中国は貿易があってこそ成り立つ経済モデルであるにも拘らず、その貿易相手国として最も大事な米国の世界戦略に挑戦しているからだ。
 その最たるものが国際開発銀行の設立だ。米国のドル基軸通貨を基本とした世界銀行による世界金融支配に対抗する中国の元を基軸にすべく中国が出資額の50%を占める国際開発銀行は米国の世界銀行に対抗するものでしかない。

 中共政府は今日の中国経済の発展は「自由貿易体制」と「ドル基軸通貨」圏での貿易取引によるという自覚が希薄なようだ。いかなる振舞いをしようと世界は中共政府の前に平伏すと考えているかのようだ。
 しかし、それは誤りだ。中国こそが紛争なき国際関係が必要な国家だという現実に目を向けるべきだ。強いていうなら、中共政府は大国として大人の自覚を持つ必要がある。
 中国の経済は外需に依存している。日本の経営者の中には人口が14億人もいるから中国の消費市場は日本の十倍以上もある、と考えているようだが、それは誤りだったし、今後ともそうなり得ない。なぜなら中国に大量消費社会が到来することは当分の間有り得ないからだ。

 中国社会は巨大な格差社会だ。それも一握りの支配階級が99%の国民の富を搾り取る、巨大な収奪社会だ。社会主義国なら本来は格差のない社会保障の万全な社会であるべきだが、そうした面では中共政府の中国は18世紀の英国的な原始資本主義社会の様相を呈している。まさしく弱肉強食の社会の様相を中共政府の中国は露呈している。その国家体制と現実との天と地ほどの乖離に国民がいつまでも気付かないはずがない。
 中共政府の旧獄共産党の独裁体制は中国人民の社会主義国家としての社会保障完備の社会を実現するための政治の仕組みであったはずだ。しかし現実は一握りの人たちが国民の富の半分近くを収奪し、蓄財し、海外へ富を移転させている。それは観念的な話ではなく、支配階級一族で一兆円を超える中程度の国家予算に相当する巨万の富だ。

 そうした中共政府の中国が国内支配の矛盾をきたし、国民の不満の捌け口として「反日」を利用してきた。中共政府が日本を批判するのは中共政府の「政策」の一環に過ぎない。そうした中共政府と日本政府がいかなる立場での関係改善をしようというのだろうか。上記記事にある通り、麻生財務相が現在の日中関係悪化の原因は中共政府にある、と指摘するのは正しい。日本が中共政府と関係改善する前提として譲歩すべき事柄は何もない。
 むしろ安倍首相をはじめとする閣僚の靖国参拝を批判するのは内政干渉だ。それが軍国主義・日本の復活などと中共政府が論評するのは見当外れもいいところだ。米国の独立戦争で戦死した無名戦士の眠るアーリントン墓地を当時の敵として戦った英国首相も米国訪問時には訪れて献花しているではないか。なぜ中共政府指導者は訪日の際に靖国神社を訪れて参拝しないのだろうか。国際的な慣行からすれば、批判するどころか習主席は訪日の際には靖国神社を参拝すべきだ。

 そうした中国の置かれた世界的な立場と、国家としての常識さえ念頭にない指導者たちと会談する必要は日本政府の側にはない。日本が中共政府の主導する「反日」批判に従って膝を屈して自己批判する必要は微塵もなく、むしろ日本に対する内政批判と尖閣諸島への領土的野心をあからさまにする中共政府の中国から手を引き、関係を希薄にしていくのは当然のことではないだろうか。
 未だに中国に展開している2万社以上の日本企業と13万人に及ぶ邦人の撤退を日本政府は真剣に検討すべきだ。中共政府がいつまで中国を統治していけるのか危うい状況にある。中国共産党支配体制が崩れれば、中国は一気にカウス状態に突入する。それは中国が何千年にもわたって繰り返してきた彼の国の歴史が証明している。たとえ政権が崩れても国家としての枠組みが崩れたことのない日本と同じ「国家」だと考えていては誤りだ。

 日中関係改善する必要性も、改善の前提として中共政府の中国に譲歩すべき事柄も何もない。中共政府の甘言に引き寄せられて暗躍しているとしたら福田康夫氏は晩節を汚すことになりかねない。権謀術数の渦巻く中国と付き合うにはそれなりの覚悟と相手の真意を見抜く慧眼が必要だ。それらを持ち合わせていなければ単なるメッセンジャーボーイとして利用されるだけだ。かつての日本の外交官がチャイナスクールと呼ばれる懐柔策にまんまと懐柔され百害あって一利なしの役立たずの外交しか展開してこなかった歴史を忘れてはならない。


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