身の回りの安全こそ再点検すべきだ。

 御嶽山の噴火による死者が五十名を超えた。いまだ行方不明者が十人以上いるといわれている。いわれている、というのは御嶽山への入山名簿がないから、当時何人が頂上付近にいたか定かでないから確定できないでいる。
 いうまでもなく御嶽山は三千メートルを超える独立峰で、登山するには麓から行くしかない。ただ登山道路が整備され、7合目あたりまで車で行けるため、日帰りで登れる高山として人気が高かったようだ。

 御嶽山はここ数十年の間に噴火したことがあり、活火山のうちでも活発な火山活動を見せていた。そうした火山活動の活発な山の山頂付近に避難シェルターがなかったのはどういうことだろうか。いや日本には噴火の危険のある活火山は100を超えるそうだが、避難シェルターが設置されているのは12山ほどでしかないという。
 登山道路は観光資源となるため建設を促進するが、いつ噴火するともわからない火山のために避難シェルターを造るのに積極的でないというのは行政の在り方の問題だ。つまりそれは行政をチェックする議会議員もそうした問題意識が希薄だったということで、地方自治体の在り方と同時に有権者の問題でもある。

 広島市安佐南・北区の豪雨災害もハザードマップ策定の段階で土砂崩れ危険区域に認定されていたにも拘らず、行政が一ヶ所の砂防堰堤すら設置していなかったというお粗末さを露呈した。乗用車ほどの岩石が山の斜面を転がり落ちて家屋を直撃すれば土台すらも残さず根こそぎ破壊されるのは解り切っていたことだ。
 市や県の議会でそうした防災対策の議論は一度もなかったのか、知りうる立場の人は情報を公開して頂きたい。予算をかけて国の指針であるハザードマップは策定したが、その対策は皆無だったというのなら何のためのハザードマップ策定だったのだろうか。

 それに似たことは福一原発放射能漏れ事故の際のSPEEDY情報が住民避難に生かされなかった、ということにもあった。何のためのSPEEDYシステムの設置と運営予算だったのだろうか。それはそうしたシステムを作動させること自体に価値があって、それが住民の安全のためになろうがなるまいが関係なというのなら、そうしたシステムは官僚や公務員の高価な玩具に過ぎない。
 しかもそうしたシステムがあるから万一の場合も住民の安全は確保できると説明していたとするなら、二重の意味で納税者・国民に対する背信行為だ。身の回りの安全確保こそが行政の使命ではないだろうか。わずか一時間余り早く東京から大阪に着くために数兆円も投じるという採算度外視の『超伝導』を行おうとするよりも、身の回りの日常に潜む危険の排除にこそ、行政は力を尽くすべきだ。


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