優越的な地位利用による支配の制限を。

 企業展開モデルの一つとしてフランチャイズがある。この場合、企業展開ノウハウを付与する代償として売り上げの何%かを徴収するロイヤリティの算定基準を明確に把握するために、支配企業が商品の納入とか格付けを支配することが普通に行われている。しかし、それがフランチャイズ加盟店に不当に損害を与えているとしたら問題だ。
��コンビニエンスストアのセブン―イレブン・ジャパンに廃棄前の弁当などを値下げする「見切り販売」を妨害され損害を受けたとして、加盟店オーナー4人が同社に計約1億3900万円の損害賠償を求めた訴訟で、最高裁第3小法廷(大橋正春裁判長)は14日付で、賠償を命じた東京高裁判決に対する同社の上告を退ける決定をした。
 原告らも賠償増額を求めて上告していたが、第3小法廷は同日付で退ける決定をし、計約1140万円の支払いを命じた高裁判決が確定した。
 高裁は昨年8月の判決で、同社従業員が原告らに対し、見切り販売をしたら加盟店契約を更新できないことを示唆したなどと指摘し、妨害行為を認めた。
 公正取引委員会は2009年、見切り販売を制限したとして、独禁法違反(優越的地位の乱用)で同社に排除措置命令を出していた>(以上『時事通信』引用)

 弁当は短期間に販売しなければ食品衛生上廃棄処分しなければならない決まりだ。しかし、それは無駄であるばかりでなく廃棄商品額の全額がフランチャイズ加盟店の損害となるため、加盟店としては少しでも損害をカバーすべく「見切り品販売」をするのは当然といえば当然だ。
 しかし、そうした行為を許せば支配会社にとってロイヤリティの算定上、売上高の集計で優勝支給商品と加盟店の販売価格との間に誤差が生じて不都合が生じかねない。だから支配会社が付した価格を維持させようとするのも理解できる。

 だが、実際に販売しているフランチャイズ店の経営者にとっては販売時間を経過した弁当を廃棄処分するのはみすみすカネを溝に捨てているのと同じで耐え難いことだろう。価格を下げてでも損失を少しでもカバーしようとするのも当然の行為だ。
 両者の利害を調整すべく上記の判決が出たのだが、支配会社の優越的な立場を制限したのは納得できる。
 開業するにあたってフランチャイズ店の個々の経営者は弱い立場にある。売り上げの4%前後をロイヤリティーとして納付させられるだけでなく、販売商品も支配会社から有償支給され、その商品のみしか販売を許されない契約がコンビニ業界の通例なら、その支配力はフランチャイズ店の殺生与奪の権限を持つのと同じだ。

 しかし支配会社もフランチャイズの協力なしにブランド力が全国的に短期間に浸透させられないのも事実だろう。本質的には対等な力関係にあるのだが、フランチャイズ店が個々の経営者の集まりで全国横断的な組織がないために、支配会社の支配力が強大化して暴走する向きがないとも限らない。
 鵜匠に操られる鵜と同じくフランチャイズ店経営者の残酷物語を耳にする機会が多々ある。だがフランチャイズ店開店に当たり経営者は多額な資金を注ぎ込み、その対価として支配会社の指導を得てブランドの傘の下に入ることで同業他店よりも優越的な商売が約束されているのも事実だ。つまり支配会社とフランチャイズ加盟店とは運命共同体の対等な地位にあると理解すべきだろう。

 一方的に支配会社が利益を上げる企業モデルがいつまでも続くわけがない。総利益の分け取りに関して、支配会社は「地位利用」による不当な契約をフランチャイズ経営者に結ばせてはならない。公取はそうしたフランチャイズ企業経営の支配会社との契約書にまで踏み込んで「支配企業の優越的な地位利用」を認定すべきだ。
 コンビニの経営者になったばかりに家族が崩壊したという悲劇を防げるように、国もそろそろ重い腰を上げるべきだ。


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