なぜ日本のマスメディアは「中国盛り」を続けるのか。

 日本で最大発行部数を誇る読売新聞の「中国盛り」が止まらない。本日朝刊でも7面冒頭に「中国金融で覇権狙う」とデカデカと大見出しを出し、中ほどにも『海外進出 企業も貪欲」との見出しが躍っている。
 いかにも中国経済が好調で世界的な展開をやすやすと遂げているかのようだ。しかしそれは本日の読売新聞の社説『正確な報道で信頼回復したい』に合致しているのだろうか。

 現在の中国経済は未曽有の混乱に陥っている、と診るのが正しい評価ではないだろうか。地方政府の宴の跡とみられる鬼城と呼ばれるゴーストタウンが中国全土に30を超えて出現し、地方政府が資金調達に利用した理財商品が回収不能に陥っている。
 それらは影の銀行を直撃しているが、早晩表の銀行を揺るがす事態に発展するのは火を見るよりも明らかだ。その不良資産は推計で300兆円に達しているとも、いやそれを遥かに上回っているともいわれ、米国発の世界金融恐慌を引き起こしたゴールドマン・サックスの不良資産の二倍を超える規模になっている。

 香港で選挙の民主化を叫ぶ学生たちの十万人を超えるデモを中共政府は必死の情報統制で中国民に隠していたが、ついに昨日付の人民日報で香港の民主化に対抗する香港当局を支持するとの論説を掲載するに至った。今日の情報社会でネットなどの完全統制は不可能だ。
 そもそも共産主義は「平等と社会保障」が最大の謳い文句のはずだ。だが中共政府の中国は極端な格差社会になっている。もちろん社会保障は無きに等しい。それで中国社会が安定するとは決して思えない。

 だから常に「保八」といって8%の経済成長を至上命題に掲げて、国民の格差や貧困に対する不満を明日への期待に押し込めてきた。しかし、8%経済成長はとっくの昔に行き詰っている。それで景気良く世界進出だ金融覇権だと中共政府が打ち上げているに過ぎない。
 その宣伝にやすやすと載って、片棒を担いでいるのが日本のマスメディアであり、チャイナ経済評論家たちだ。そうした甘言に乗せられて何人の経営者たちが国内の勤労者や地域社会を裏切って中国へと工場などを移転させたことだろうか。そうして手にした泡銭は、しかし元を盗られる運命にある。中共政府や地方政府がどれほど汚い手を使って日系企業の撤退を邪魔しているか、日本のマスメディアは頑として伝えようとしないが、経営者たちの間では常識になっている。

 だが、それでも中国に無知な国民はマスメディアの報道に騙されかねない。中共政府が打ち上げた「国際銀行」構想がいかに荒唐無稽なものか、解説する記事も同時に掲載すべきだが、読売新聞の『正確な報道』とは「中国盛り」の報道だと解釈するしかないようだ。
 国際通貨ですらない『元』の信任により国際銀行が機能するとでも考えているのだろうか。中国とロシアがタッグを組めば無敵だと持ち上げる評論家もいるが、中国経済の現実を知らず、ロシア経済が極端な原油・天然ガス依存で、しかも規模は日本の1/3程でしかない現実を知らない者の戯言だ。
 新聞週間に当たり日本のマスメディアが『盛り』記事を書かず、日本国の国益と、国民の生活が第一の使命感を抱いて活動する日が来て頂きたいと心の底から願う。


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