国際金融は転換点を迎えている。

<米連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策を決める連邦公開市場委員会(FOMC)は29日、米国債などの資産を買って市場にお金を流す「量的緩和」の終了を決めた。2008年の金融危機以降、3度にわたり続けた未曽有の金融緩和の終了で、米国の金融政策は転換点を迎えている>(以上『朝日新聞』引用)
 これでリーマンショック以来続けてきたドル安政策は終わりを告げて、国際金融は金融引き締めへと転換する。日本は周回遅れで金融緩和策を実施したが、ドルが引き締める中で円を垂れ流すことは許されなくなる。金融の国際協調を求められる流れになるとみるべきで、アベノミクスの象徴とされ安倍氏が日銀を「支配」して実施した唯一の政策が転換されることになる。

 金融面で2%インフレターゲットを定めて緩和してきた政策の転換は国内景気を冷却させる方向に働くと見なければならない。8%消費増税により既に景気は下落方向へ振れていて、さらに円高圧力が強まることになる。
 国内の雇用環境は強引な公共事業の大盤振る舞いにより一部業界で人で不足をきたしているが、それは賃金の低さや職種のミスマッチなどにより労働者から敬遠されているだけで、全体としてみれば雇用は買い手市場にあることに変わりない。特に正規社員の雇用は極めて限定的で、安定的な雇用形態はますます浸食されている。

 ここに来て安倍政権が派遣業法のさらなる規制緩和に乗り出すのは雇用のミスマッチを拡大させるだけで、それを以て人手不足だから外国人労働者を大量移民させようというのには賛成できない。むしろ正規社員の雇用拡大策を講じるべきで、規制緩和の繰り返し労働環境を悪化させて来た政策を改めることが必要だ。そうしなければ個人消費拡大は望めないし、景気の堅調さを取り戻すことは困難だ。
 異次元金融緩和策は政府から独立を求められる日銀の所管する政策であることを考えれば、実質的に安倍政権はこの二年近くの間に何もやっていないことになる。第二の矢だ第三の矢だ、いや第四の矢だと安倍氏は燥いでいたが、結局法案が成立して実施に移された政策は皆無だ。いまだに「経済特区」の選定や「投資減税」などの範囲と規模の議論に終始している。「地方の創生」に関しては看板を作って部屋の前に掛けただけに過ぎない。こうした実態にも拘らず、マスメディアは二年近くもアベノミクスと騒ぎ立てたものだと呆れる。

 日銀の異次元金融緩和は別として、口先だけの安倍政権は実効政策を何も実施しないうちにFRBの金融緩和策の出口戦略を迎えることとなった。ここでも日本は周回遅れを演じることになった。
 異次元金融緩和策を日銀が打ち出した段階で、政府は強力にUターン投資減税を打ち出して円安局面突入と同時に実施すべきだった。中国だけでも当時3万社もあった移転企業を国内へ呼び戻すことが出来ていたなら、どれほど雇用改善につながっただろうか。「地方創生」などと掲げることもなく、地方に雇用の場が出来れば都会へ出ていた若者たちもUターンしていたはずだ。しかし、安倍政権の足取りはモタモタしていて何もかもが遅すぎた。結局彼が「取り戻した」のは自民党への企業献金だけではないだろうか。

 安倍政権がモタモタしていると、今度は株式投資枠を拡大した年金基金が危うくなる。金融の局面変化に対して、年金基金運用がスムーズに転換できるか大きな危惧を覚える。国民の虎の子を溶かして1%に奉仕する安倍政権の面目躍如といったことになるのではないかと思わざるを得ない。
 99%の国民に奉仕すべき政治家本来の役割を担う「政党」が一日も早く自民党への対立軸として野党の中から立ち上がることを望むしかない。自公政権が「政治は結果責任だ」と主張するのなら、彼らの二年間の安倍政権下に一体何をやったのか国民の一人ひとりが検証すべきだ。間違ってもマスメディアに登場するMCやコメンテータの言辞に翻弄されないことだ。彼らの口先の言葉だけで踊ったのは失態は何もない言葉だけの「アベノミクス」だけでたくさんではないだろうか。


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