国民を苦しめている消費増税は民主党も同罪ではないのか。

 国会論戦でおかしなやり取りがあった。<「消費税を上げなければ『アベノミクスはうまくいっていない』と自ら証明する事にならないか」。民主党の前原誠司氏が追及した。首相は「経済を見ながら上げるかどうか判断する。アベノミクスの成功とか失敗とかには関わりがない」とかわした。与党内にもある同様の指摘を意識し、年末の判断とアベノミクスの成否を早々に切り離した形だ。
 ただ、前原氏が「総理は『(円安で)輸出は増える』と言っていたが、増えていない」と指摘すると、首相は「我々の予想を下回ったのは事実だ」と認めざるを得なかった。過度な円安や燃料費高騰などのコスト増は地方や中小企業に深刻な影響を与え始めている。この日質問に立った自民党の小野寺五典前防衛相は、今国会で政権が目玉政策に掲げる「地方創生」を引き合いに「中長期的に地方を元気にすることは大切だが『明日の生活』を不安に思っている地方在住者がたくさんいる」と訴えた>(以上『毎日新聞』引用)

 消費税10%増税を公言した政権は民主党の菅首相だ。次の民主党野田首相も10%を実施すると主張した。前原氏はその両内閣で党か内閣かのいずれかで執行部側の立場で主要な役回りを果たした。つまり前原氏も消費増税10%推進派だった。
 その前原氏が安倍政権が10%増税しなければアベノミクスは失敗だ、と10%増税を安倍政権に迫るかのような質問は一体なんだろうか。10%増税をしなければアベノミクスは失敗したと安倍氏はみなすのと同様だとは主客転倒もいいとこではないだろうか。

 前原氏は消費増税8%実施後の経済の落ち込みと国民生活の困窮ぶりが解ってないようだ。前原氏も政治家なら個人消費は8月も4%後半の減少を見せている。消費増税は消費税の税率は上げたけど、税収全体では減少した橋本内閣の消費増税5%と同じ結果に終わりそうだ、という現実こそを問題とすべきだ。
 つまり消費増税は誤りだったと、まず前原氏が国民に謝罪し、そして安倍氏に消費増税を撤回すべきと迫るのが本来の野党のあり方だ。まさしく日本経済はスタグフレーションの悪循環に陥ろうとしている。そうした現状認識なしに自公政権を自らが推進した消費増税を梃にして批判するのは無理がある。前原氏の質疑を聞いていて違和感ばかりが残るものだった。

 消費増税は失政だった。やや改善しつつあった経済をアベノミクスと誇った安倍氏は金融緩和が景気にまでプランをもたらすと勘違いしていた。その根拠は株高を安倍氏本人が何度も取り上げて「株高は半年後、一年後の経済先行指標だ」とさんざん言ってきたことにある。
 しかし先行指標になるのは異次元金融緩和なき場合の株高が起こった場合に限る。異次元金融緩和が本来なら企業投資や民間投資に向かうべきが、アベノミクスの無策によりだぶついた資金が国債や株式へ向かっただけの話だ。それは貨幣価値の下落を招くだけで、アベノミクスによる円安により日本の対ドル評価では100兆円もの資産を喪失したことになる。対ドル評価で見れば日本は外国投資家が投資すべき国ではなく、資産評価減の投資資金引き揚げの国になっているのだ。その現実が安倍氏とその取り巻きの経済学者たちは看過しているようだ。

 繰り返すが、消費増税による景気失速の責任は自公政権と民主党と消費増税に賛成した野党を名乗る自民補完政党にある。前原氏は民主党内にあって消費増税を政調会長として強引に取り纏めた張本人だ。
 その張本人が安倍氏に消費増税10%を云々批判する立場にあるのだろうか。彼も安倍氏の隣に席を設けてもらって共同責任者として消費増税批判の野党に答弁すべき立場ではないだろうか。

 民主党が国民からそっぽを向かれた原因が彼ら自民党になろうとした似非・民主党議員にある。なんという恥知らずな議員たちだろうか。彼らは消費増税を決めて民主党内で「国民の世界つが第一」であるとする消費増税反対派の小沢一郎氏たちを切り捨てた。
 いわば似非・民主党議員たちが真正・民主党議員たちを民主党から追い出して乗っ取ったのだ。現在の民主党は政権を獲得した当時の、国民から圧倒的な支持を得た「国民の生活が第一」とした民主党とは全くの別物だ。財務官僚たちに唆されて自民党的な政策に邁進して、結局自民党の代替政党のなれなかった蝙蝠のような残党の集まりだ。だから自民党の補完野党たる維新の党と連携が可能なのだろう。

 異次元金融緩和の後から追いかけて来るのはその反作用たる未曽有の悪性インフレの可能性がある。悪性インフレに陥らないためには経済成長策を強引に推し進めることだ。その政策とは財政出動してでも景気を良くすることで、最も手っ取り早いのが消費税を5%に戻し、撤廃した各種所得控除を復活させることだ。
 個人消費の回復なくして景気回復はありえない。法人減税が一体どのような景気効果をもたらすというのか、似非・経済評論家たちは説明できるのだろうか。限定正社員や残業代ゼロなどの労働分配率引き下げ要因となる政策を推進して、景気が回復すると安倍氏は本気で考えているとしたら経済が何もわかっていない証拠だ。

 円安の国に投資する外国法人はない。むしろ魅力なき国として投資を引き上げるだけだ。外国労働者たちも目減りした日本の賃金に以前ほど魅力を感じないだろう。
 円安は国力の低下をもたらす。一次的に貿易を回復する効果はあるはずだったが、円高の短期利益追求型の経営者たちがこぞって生産拠点を海外移転させていた。だから円安メリットはそれほど日本の貿易に表れてはいない。むしろ貿易自体を眺めれば異常な貿易赤字が現実を表している。その貿易の円安による輸入価格上昇が国民生活に重くのしかかってくる。それでも安倍氏は口先で何本目の矢だとか数を数えるだけで一向に矢が放たれていない。口先政治で誤魔化しのきく時間は既に過ぎ去った。安倍氏こそ結果を国民に見せる時が過ぎ去ろうとしている。


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