政府は企業の国内投資を優遇せよ。

 国内産業の空洞化を防ぎ、国民に安定的な雇用を確保するためには企業の国内投資を促進する必要がある。最近、日本を代表する企業で国内研究・生産拠点に投資を行う動きが出ているのは歓迎すべきことだ。
<東芝の田中久雄社長は9日、三重県四日市市内で記者会見し、半導体事業に2014年度以降、毎年2千億円規模の設備投資をしていく方針を明らかにした。大半は半導体メモリーを製造する四日市工場(三重県四日市市)に投じる。
 半導体事業の設備投資額は13年度も約2千億円。東芝はスマートフォンやタブレット端末向けの需要拡大に対応し、世界首位の韓国サムスン電子に対抗する考えだ>(以上『日経新聞』引用)

 電子産業の発展に関して半導体などの基本素材の製造を国内で行うことは産業の国家戦略として重要事項だ。いかに最先端製品を組み立て製造しようとも、その基本素材を供給する製造拠点が国内にないなら単なる組立工場に過ぎない。
 一時的に世界的な製品を創り出そうとも、次の電子世代へ需要が移れば製造していた製品は需要を失い企業は経営危機を迎えることになる。製品サイクルの短い電子機器の製造業が世界的企業としてあり続けるためには半導体などの基礎部品製造産業を国内に持たなければならない。

 それは電子・電気製品だけではない。自動車なども研究開発から製造部門まで、生産一貫体制が国内に揃ってこそ世界最先端の製品を供給し続けることが出来る。国際分業は短期的には新規投資を抑え、企業収益に直截寄与しない研究・開発費を抑制できて、最大企業利益を上げることが出来るだろうが、そうした摘み食いのような好いとこ取りは長続きしない。
 研究開発から製造まで一貫した企業が国内にあることがそれぞれの産業で強みになる。円高が進んだ当時、評論家たちは無責任に「国際分業」や「企業のグローバル化」を提唱・推奨して、企業の国外投資熱を煽った。その結果が現在の国内産業の空洞化と労働分配率の低下を招いた。

 国際分業は国内労働価格の低下を招く。企業としては労働費の安いところへ企業展開して短期的に企業利益の最大化を実現できる。企業利益の最大化実現は経営者の優秀さを証明するものではない。安定的・長期的な企業収益を図ることが経営者として正しい在り方だ。
 企業は株主のためにあるのではない。企業は地域社会や労働者のためにある。ひいては日本企業は日本の国家と国民のためにある。生産拠点を海外へ移し、製品販売を国内で行って企業だけが最大利益を実現して、販売実績に見合う相当の労働分配を国民にしないで何が企業経営者だろうか。

 日本政府は一義的に日本の国家と国民のためにある。国際平和のためと称して、日本の国家と国民のためにならない国際紛争に日本国民を送り込むような「集団的自衛権」なぞ間違っていることは明らかだ。
 日本の企業は一義的に日本の国家と国民のために存在すべきだ。短期的に企業収益を上げて多額な経営者分配を手にするのは日本の企業経営者には馴染まない。1%の投機家たちのありかたを日本企業経営に持ち込むべきではない。それは企業だけでなく多くの国民を不幸にする。

 経済特区構想などと半世紀も前の時代遅れの経産省主導の「企業特区」構想の再現は港湾投資や道路投資などの産業資本が未発達な時代には効果があった。しかし現代で特区構想を行うのは全国的に空洞化した産業の改善には向かない。
 官僚や政治家が経営者をハンドリングする時代ではない。企業経営は経営者に任せれば良い。ただ国内投資に対する優遇策を準備し、必要とされる場所の国や自治体が分担すべき産業基盤を整備すれば良いだけだ。なにはともあれ、中国や韓国へ進出した企業が損切りしてでも国内投資に魅力があってUターン投資するような減税や融資の政策メニューを早急に備えるべきだ。既に実態なきアベノミクスは知れ渡っている。いつまでも政治家たちは夏休みにウツツを抜かす事態ではないだろう。


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