避難解除が出たとはいえ、安全になったわけではない。

 広島市北部を襲った土石流により70名を超える人たちが亡くなった。いまだに2名の方が行方不明だという。<広島市北部の土砂災害で15万人に発令された避難勧告・指示が31日、ほとんどの地域で解除された。だが、解除された地域でも家が壊れるなどして帰れない人は多く、依然、995人が避難生活を続けている。不安から避難所にとどまる人もいて、避難所には安堵(あんど)と戸惑いが入り交じった>(以上『毎日新聞』引用)

 古来より山は崩壊を繰り返し、川は氾濫を繰り返してきた。それゆえ治世者の最大の仕事は「治山、治水」と長らくいわれてきたものだ。しかし全国的に山に植林され砂防ダムが整備され、河川の改修と土手整備が行われて「治山、治水」事業は一段落を遂げたとの安堵感が行政になかっただろうか。
 だが全国に10万ヵ所を超える崖地崩落などの危険地区があるなど、まだまだ「治山、治水」事業が終わったわけではない。広島市安佐南区と北区の被災地域は古来より土石流被害があることを「悪谷」や「落蛇」という地名などに託して先人は警告していたようだ。しかし行政による地名変更などにより「字」が「丁目」などに変更され、先人の警告と伝承が途絶えてしまった。

 全国各地の「字」を簡単に捨て去った行政により先人の警告を「治山、治水」対策として生かすこともなく、人口増による宅地開発などで山麓の水道筋に家を建てたりするなど、地域の歴史を無視してきたのではないだろうか。
 避難解除がなされても山が安全になったわけではない。むしろ表土崩壊による土石流の「残土」が山には大量に残り、崩壊地へ向かって水が染み出すなど、山の表土が不安定化している。「沢」や「谷」といった「字」のある地域には土石流対策の擁壁建設など適切な対応が早急になされることを望む。

 安佐南区や北区の被災地域を上空から写した画像を見る限り、砂防堰堤や土石流擁壁などがあったという痕跡が一ヶ所も見当たらない。土石流は山肌を加速して山麓に迫る住宅群を直撃した。これでは堪ったものではない。
 砂防堰堤が何段か造られていたなら、住宅は土石流の直撃を免れて尊い人命は失われないで済んだかも知れない。「治山、治水」が古来より治世者の最大課題であったことを忘れてはならない。


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