地方再生は、まず雇用の場の創生からだ。

 どうしても官でなければならないものでない限り、事業は民間へ移すべきだ。そして、どうしても東京でなければならないもの以外は地方へ移転させるべきだ。
 当然、復興庁は東北へ移転させるべきだし、官庁が抱えている各種データ処理センターは地方へ移転させるべきだ。何も土地代や家賃の高い東京でどうしてもやらなければならない業務ではないはずだ。

 麻生財相が「地方再生事業がばら撒きにならなければよいが」と懸念を表明していたが、麻生氏は竹下内閣が実施した「ふるさと創生1億円」事業が屍累々たる惨状を呈したのを忘れたわけではないだろう。
 ばら撒きで地方は再生できるほど軽い症状ではない。数十年にわたる若者流出とグローバル化の掛け声と、構造改革の名目下になされた派遣業法の野放図な規制解除により、地方は惨憺たる状況になっている。

 まずは若者を受け容れる雇用の場を創生しなければ何事も始まらない。地方を舞台としたテレビのピント外れ番組「人生の極楽」などというスローライフ礼賛では若者は定住できないし、ましてや家庭を営んで子育てを行えるほどの労働生産性はない。
 地方の基盤となっていた産業がかつての面影を失い、若者の雇用吸収力を失い、工場を閉鎖して海外へと移転した現状を政治家たちは知らないのだろうか。地方は緩慢な死を迎えようとしている。それは都会にも忍び寄る地域社会の崩壊の序章でもある。

 人口減社会の絶望的な未来を政治家たちは真剣に考えるべきだ。外国人労働者を入れれば良い、などと竹中氏たち新自由主義者たちは国境のないグローバリゼーションという投機資金のために奉仕する政策を推進する人たちの意見を聞いてはダメだ。
 たとえ日本を空洞化しても自分たちの企業が儲かりさえすれば良い、という新自由主義者たちの国家破壊工作を拒否して、この国が力強く経済成長した当時の社会を取り戻すことだ。終身雇用制度のどこが間違いだったのか、家族経営の企業経営者のどこが間違いなのか。そして企業は地域と従業員のモノであり、断じて株主のモノではない、との企業理念に立つべきだ。

 この国に外国資本は必要ない。外国投機家による株式買いだとか、百害あって一利なしだ。広く世界に株式市場を開放するのは当然だが、外国投資家たちをことに優遇する必要は微塵もない。日本国内資本は充分に国内企業資金需要を満たすだけの余力を持っている。
 外国投機家たちが必要なのは金融が未熟な発展途上国の話だ。グローバリゼーションを推進する新自由主義者たちの策動に乗ってはならない。この国の何よりも必要な政策は「子育て手当」と、企業に対するUターン投資減税だ。もちろん法人減税なども必要ないのは論ずるまでもないことだ。利益のある企業は税を支払えばよい。それが嫌なら従業員に給与として労働分配率を高めれば良いだけだ。

 地方には草ボウボウの工業団地が無数に残っている。今ならまだ地方は再生する力がある。若者を雇用する企業が展開しやすいような低金利の投資資金融資や固定資産税減税など、適切な政策を実施すれば企業は何も政情不安な、商慣行の異なる外国へ移転させる必要はない。まずは国内の空洞化を止め、さらに国内の殖産興業に尽力すべきだ。それが国民の生活を第一に考える政治だ。


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