新たな世界秩序の構築。

 米国がロシアへの一段と強力な経済制裁に乗り出すようだ。<米政府は12日、ウクライナ情勢を受けて対ロシア追加制裁を発動し、ロシアの銀行最大手ズベルバンクなど金融、防衛、エネルギーの主要企業を経済制裁の対象に指定した。欧州連合(EU)の対ロ追加制裁と歩調を合わせた措置。ロシアが緊張緩和に取り組んでいないと判断した>(以上『毎日新聞』引用)

 ロシアとはどんな国なのか、まずは全体像を把握しておく必要がある。国の広さは地球儀を見れば簡単に理解できるだろう。人口は1億4千万人ほどでGDPは約4,693億ドルで日本の4,835億ドルよりも少ない。ただGDPに占める石油・天然ガスの割合は中東諸国並みに高く約25%を占め、それは輸出入総額の55%にも達している。当然石油・天然ガスによる税収は歳入の35%に達していて、ロシアは石油・天然ガスなしには経済が成り立たない国になっている。

 ロシアが欧州諸国やウクライナに圧力を掛ける手段として天然ガスの禁輸をちらつかせるが、天然ガスバルブを完全に閉めればロシア経済とロシア国庫がたちまち逼塞する事態に陥るだろう。だからプーチンはウクライナ制裁に加わっている日本に従来の約束通り近々訪問する。日本に天然ガスを輸出して欧州頼りの輸出先を分散化して、ロシアの経済基盤を強靭化しようとしている。
 もちろん経済大国になった中国にも売り込んでいるが、ロシアは中国を日本ほど貿易相手国として信用していない。対中関係で何かあれば天然ガス決済は中国政府により極めて政治的に決められる恐れがあるからだ。そこが日本の政治は政治経済は経済と政経分離の原則が貫かれている国と異なるからだ。

 ロシアや中国と同じく米国も政経分離の国ではない。何よりの証拠がウクライナへのロシア介入に関して経済制裁を課すと脅しているではないか。
 国境線の変更を軍事力を背景として行うのは侵略に他ならず、決して認められるものではない。確かに軍事力を背景にウクライナのクリミア半島併合や東部を蚕食するロシアのやり方は看過してはならないものだ。しかし、だからといって経済制裁を課すというのもガキじみてはいないだろうか。

 彼らは「国連安保理常任理事国」という世界平和に責任を負うべき立場の国々だ。先の大戦の戦勝国として世界秩序を自分たちで守ろうとして国連なる機関を作った五ヵ国の内の国々だ。
 しかし国連が国際的な紛争を鎮静化するのに重要な役割を果たしたことがあっただろうか。一体国連は何のために存在するのか。先の戦勝国の主要五ヵ国が世界支配を自分たちで行い、世界利権を自分たちだけで分け取りしようとする20世紀的帝国主義の残滓の象徴のように見えてならない。

 中東で米国は「イスラム国」が怪しからんといってシリア国内の「イスラム国」勢力を空爆しようとしている。確かに「イスラム国」なる軍事勢力がシリア東部地域からイラク西北部地域に進攻して支配しているのは米国にとって米国のイラク利権を侵害する怪しからん事態だろう。しかしそれが日本にとってどうだというのだろうか。
 だが米国の内でもイラク利権に関わっているのは1%の人たちだけだ。米国民がすべて「イスラム国」に憎悪の念を抱いているわけではない。だからこそ13年前の9.11を持ち出してグランドゼロで式典を盛大に行って「テロへの聖戦」を米国民に植え付ける必要があったのだろう。

 だが安保理常任理事国たちによる「戦争ごっこ」や「利権囲い込みごっこ」による非戦闘員の虐殺が止んだことはない。国連は世界平和に貢献しているのだろうか。
 単なる安保理常任理事国による利権の調整機関に過ぎないとしたら、そんな国連が未来永劫に人類にとって必要な機関だろうか。国連が世界各国が構成員として参加する唯一の国際機関であるなら、その在り方について真剣な議論をすべき時期に到っているのではないだろうか。安倍氏は安保理非常任理事国入りのためにライバルと目されていたバングラディッシュを6000億円の援助で買収したと後ろ指を指されているようだが、日本が目指す途は非常任理事国を目指すのではなく、必要とあれば国連解体の議論を提起する立場に立ってでも世界平和を提唱すべきではないだろうか。一体いつまで米国のポチであり続けるつもりなのだろうか。


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