製造業中心の国内産業構造へ再構築せよ。

 かつて金融資本が貧弱だった明治期に銀行業を興した渋沢栄一は『殖産興業』を国家の基本にして様々な起業に貢献した。バンカー(銀行家)には経済の血液たる金融を社会に適切に流す血管としての役目がある。
 翻って現在の日本の銀行家たちにバンカーとしての使命感が見られるだろうか。企業は儲けさえすれば良い、というものではない。利益を上げるのは基本だが、地域や国家に貢献してこそ役割を果たしたといえる。
 現政府の経済政策はモノ造り企業を推進しているだろうか。日本は外国資本を呼び込まなければならないような後進国ではない。自前の金融資本で十分にやっていける金融大国だ。
 今問題なのはグローバル化という掛け声で国内産業が空洞化していることだ。モノ造りの現場を国内から海外へ移転する安易な考え方は危険だ。労働力が安いから海外へ移転する、というのは安い労働力に日本国内の労働者を置き換えていることだ。企業は利益を上げるかもしれないが、日本国民への労働分配を減少させるのみならず、モノ造りの現場を奪うことに他ならない。

 製造部門の海外展開は短期的には安直に企業利益を上げられるかも知れない。しかし製造部門の海外展開は日本国内で継承すべきモノ造りの現場を奪うことだ。それが単純大量生産であれ、日本国民のモノ造りの現場を奪うことに変わりない。
 バンカーが国家的な視点を持つべきなのと同じように、企業経営者は地域的・長期的視点を持つべきだ。そして政府は空洞化してきた日本の製造業を再生させる政策を果敢に実施すべきだ。一度モノ造りの技術が途絶えたなら、再生させるのは困難だ。政府はモノ造りの技術が継承されるように各分野に目配りし、適宜政策により支援を行うべきだ。

 グローバル化の先進国・米国がどうなっているか、その実態を詳細にみるべきではないだろうか。そしてグローバル化の実態をしっかりと認識すべきだ。
 グローバル化の実態は投機家たちの最大利益実現のための環境整備に他ならない。それぞれの国にはそれぞれの個別的な事情がある。そうした個別的な事由により金融障壁があっては自在に国境を越えて投機資金を動かすことが出来ない。だからTPPであり、規制緩和なのだ。それらは投機家たちのための政策に他ならない。

 繰り返すが、日本は外資を呼び込まなければならない必要性はない。国内金融だけで十分にやっていける。外国の投機家たちのためのグローバル化の必要性はない。それが米国からの要請であったとしても、政府は日本の国家と国民のために政治を行うべきだ。
 国家百年の計に立てば、あくまでも製造業中心の国家戦略を立てるべきだ。明治時代の『殖産興業』の精神を忘れてはならない。より多くの国民を豊かにするUターン投資減税や企業投資減税などの政策こそ、政府は優先して実施すべきだ。


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