犯罪と人権。

 万引き(この場合は窃盗)犯罪を巡って防犯カメラにより入手した犯人の肖像をネット上に公開するか否かが問われていた。<マンガやグッズの中古ショップ「まんだらけ」の万引きをめぐる問題で、同社が予定していた「万引き犯」の顔写真の公開を取りやめたことが13日午前、分かった。同社はこれまで、盗まれた商品が返却されなければ、13日午前0時に顔写真を公開すると予告していたが、期限ギリギリの段階で方針転換を図った>(以上『弁護士ドットコム』引用)
 しかし店側の判断で公開されなかったようだ。それは犯罪を許容する、というのではなく、犯罪捜査と犯人の肖像権擁護とを秤にかけての判断というべきだろう。

 確かに店舗経営者にとって万引きなどは死活問題だ。それゆえ防犯カメラを店舗内に設置して来客者を監視している。しかし現行犯逮捕以外で万引きや窃盗犯を捜査し逮捕する『逮捕権』は民間人に付与されていない。
 ましてや防犯カメラの映像をネット上に公開したなら、それは拡散し所蔵され永遠に犯罪者としてネット上に残ることになる。万引きや窃盗犯罪は憎むべきだが、その犯人を永遠に特定する画像や動画を公開することが犯罪に釣り合うか問題だ。

 現代日本は街中に無数の防犯カメラがある。その防犯カメラの所有者が勝手に犯罪の犯人と思われる人の映像をネットに公開したなら、多くの人の人権が蹂躙されることになりかねない。
 犯罪捜査や逮捕権は警察に限定付与されている。それを民間人が行えば『名誉棄損』や『肖像権』を巡って無用な紛争を無数に提起する社会になりかねない。万引きや窃盗や落書きなど、憎むべき犯罪だが犯人の未来を勝手に奪う権利は民間人に付与されていない。法治国家として法的手続きに従って行われるべきだ。

 現代社会ですべての人の情報はある程度当局によって握られている。道路を車で移動する人はNシステムや道路上の防犯カメラにより把握されている。現在では数年前とは比較にならないほどカメラの精度が向上して詳細な映像が保存されるようになっている。
 それを検索するシステムも構築されていて、瞬時にして特定の人が何処へ何時に誰といったか、などは掴めるようになっている。警察が捜査途上の画像情報をネットに公開したなら飛んでもないことになりかねない。よって警察でさえ犯罪捜査と言えども画像の公開に慎重を期している。犯罪は憎むべきだが、個々人の人権は尊重されるべきだ。その兼ね合いは時々の社会の許容度によって決まる。勝手に個人が決めてはならない。


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