高村発言「地方議員諸君はもっと勉強したほうが良い」とはなんという傲慢さだ。

 200を超える地方議会から安倍氏が閣議決定しようとしている『集団的自衛権容認』の解釈改憲に対して、反対意見を表明しているのに対して、高村副総裁が「地方議員諸君はもっと勉強したほうが良い」と記者会見で発言していたが、なんという傲慢な態度だろうか。
 そもそも国会議員の選挙で手足となって選挙戦を戦っているのは地方議員だ。地方議員あっての国会議員だということを失念してはいけない。その地方議員をバカ呼ばわりするとはいかなる見識か、高村氏の意見を聞きたい。

 集団的自衛権の閣議決定の前段階に際して高村氏は十分に議論を尽くしたかのような発言をした。しかし与党協議が実施されたのは10回程度で、それぞれ2ないし3時間に過ぎない。しかも内容は毎回のように変化し、個別的事例を15上げたと思ったら意見集約の邪魔になるからと3程度にまとめたり、閣議決定するまで具体的な事例に関しては話し合わないで先送りしようと個別事例の議論を凍結してしまったりと、高村氏を座長として民主的な話し合いが尽くされたとは到底思われない。
 結論ありきの日程ありき、党幹部の意思が最優先され、自民党内の意見集約すら行われた形跡がないばかりか、総務会で議論されたとは寡聞にして知らない。それが民主主義を標榜する『自由民主党』の所業なら党名が泣こうというものだ。

 閣議決定の段階ではまだ行政府内の手続きに過ぎないが、それが実施される際には法的な裏付けが必要となるため、遅かれ早かれ自衛隊法の改正案が国会に提出されるだろう。その際、最高裁判所は『違憲立法審査権』を発動しなければならない。
 内閣という行政府の暴走により日本国憲法が侵害されるなら、法の番人たる司法の府が異を唱えて『無効』を宣言すべきだ。かつての『砂川判決』では米国の意向に強引に是認を迫られたそれに屈したが、憲法学者のみならず最高裁判事に就任するにふさわしい見識があれば、どこまでが現憲法の限界かは認識しているはずだ。

 その限界を超えればこの国の司法の死を意味する。立憲主義国家として憲法に畏敬の念を忘れた政権には退陣していただくしかない。それが先の戦争で日本国民が体得した立憲主義のありようだったはずだ。
 高村氏は弁護士資格を有する国会議員だ。法定手続きのみならず、法全般に深い見識を有するはずだ。それとも長い議員生活で自分こそが法だと逆上せ上った政治屋に成り下がったとでもいうのだろうか。彼の視線の先にあるのは1%の人たちなのか、それとも99%の人たちの生活なのか、戦後政治家としての見識がまさに問われようとしている。


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