いざ帰りなん故郷へ、

 地域恒例の一斉清掃に行ってきた。年に二度ほど地域の清掃活動を地域住民が行っている。私は長靴を履きスコップを持って溝浚いをした。
 実に様々なモノが投げ込まれていて、汚泥の浚いの前にモノの排除から行う始末だ。しかも地域住民の平均年齢が上がっていて、敏捷な動きや持続的な力仕事は出来なくなっている。顔ぶれを見れば昔の青年ばかりで、現役の若者が少ない。

 それでも子供たちが帰って来て同居しているとか、あるいは近所に新居を構えて親子で清掃作業に参加している姿が見られなくもない。しかし、それは極めて稀なケースだ。
 地域社会に若年層を留める雇用の場が減少している。私の暮らす地域は近くに石油コンビナート工業地帯が広がる後背地に位置しているが、それでも高校の新卒就職割合で県内就職率は5割を切って久しい。大卒に到ってはほとんど皆無と言って良い状態だ。

 地域社会が保てないのは火を見るよりも明らかだ。近い未来に日本の半分近い市町村が消滅するというデータが発表されたが、地方に暮らす者にとっては三十年も前から実感として肌に感じていたことだ。
 なぜ三十年も前か、それは当時の経済界や経産省やジェトロなどの機関が企業の海外移転を煽っていたからだ。地方の中小企業は安い労働力を確保して安直に利益を上げようとする話に飛びついた。まず縫製工場などの軽産業が海外へ移転し、次に重工業部門まで移転していった。

 当時、高校の就職担当の教諭と話した時に彼は「今年はやっと就職率100%を達成したが、内容が悪すぎる」と慨嘆していた。安定的な製造業の求人は殆どなく、かわりに外食産業などの求人が増加し、それを紹介するしかない状態だ、というのだ。実際に彼らの多くは三年以内に離職して都会へと流れて行った。
 安易に企業の海外投資や展開を煽った評論家や官僚たちは反省すべきだ。国内産業を空洞化して何が企業収益だ。そして今、焼畑農業のように中・韓が駄目になったから次はヴェトナムだ、やれタイだと、さらに次の海外展開熱を煽っているが、少しも反省の態度が見えない。国内へ回帰してこそ日本企業だ。国内雇用に貢献しない企業経営者に大きな顔をしてほしくない。

 若者たちが地方へ回帰出来るように、政治家は地域産業の活性化を図るべきだ。スローライフの牧歌的な地域社会の紹介番組なぞ糞喰らえだ。地方は自給自足のスローライフの受け皿などではなくん、次世代を養育できる経済環境をまず整えるべきだ。そのためには特区を限定した投資減税ではなく、全国の何処でも良い、中・韓などから国内へ回帰するUターン企業に対しては金融面で手厚く対処し、投資減税を大胆に行うべきだ。
 外国移民ではなく、日本国民が地域社会へ回帰して家庭を営み子育てをしなければ、地域社会は早晩崩壊する。そして親も子供たちを安易に都会へ出さないことだし、出た子供たちが帰ってくる際には行政が親身になって就職の世話をする体制を作っておくべきだ。グローバリゼーションなどという米国流新自由主義者たちの呪術に引っかからないで、日本の政治家は日本国民の最大幸福を実現すべく真剣に未来を見据えるべきだ。


このブログの人気の投稿

それでも「レジ袋追放」は必要か。

麻生財務相のバカさ加減。

無能・無策の安倍氏よ、退陣すべきではないか。

経団連の親中派は日本を滅ぼす売国奴だ。

福一原発をスーツで訪れた安倍氏の非常識。

全国知事会を欠席した知事は

安倍氏は新型コロナウィルスの何を「隠蔽」しているのか。

自殺した担当者の遺言(破棄したはずの改竄前の公文書)が出て来たゾ。

安倍ヨイショの亡国評論家たち。