見識なき人格。

<石原伸晃環境相は16日、東京電力福島第1原発事故の除染で出た汚染土の中間貯蔵施設に関し、建設に向けた地元との調整について「最後は金目でしょ」と述べた。首相官邸で菅義偉官房長官と面会後、記者団に語った。
 建設候補地の福島県大熊、双葉両町など地元自治体が施設受け入れの是非の判断を今後迫られる中、住民らへの配慮を欠く発言として批判を招く可能性がある。同相はこの直後、環境省内で改めて記者団の取材に応じ、「お金で解決すると一度も言ったことはないし、解決できる話ではない」と釈明した>(以上『時事通信』引用)

 原発建設を推進してきたのは自民党政権だ。彼らは常に『原発は安全』だ、『原発電力は安価』だと嘘を垂れ流して国民を騙してきた。それをこの国のマスメディアも「そうだ、そうだ」と囃し立て、放射性廃棄物の深刻な問題など国民の目に触れないようにしてきた。
 だからテレビなどのマスメディアに登場する文化人や芸人などは原発推進発言以外は許されず、原発批判をする芸人や文化人はテレビから遠ざけられた。かくして原発に反対する声は長らく封じられてきたのがこの国の実態だ。

 原発に賛成すれば原発事業者からご褒美が出ていたのも事実だ。原発に協力するマスメディアには電力会社から膨大なCM料が注がれ、原発を推進する政党の議員は選挙で原発関連各種企業から支援を受け、原発を推進する発言をする文化人には講演が依頼され、芸人たちはテレビ出演の機会が増える、といった具合だ。
 誰も自分が可愛い。誰も金目のものには弱い。誰も他人に嫌われたくない。「赤信号みんなで渡れば怖くない」という心理はビートタケシが指摘するまでもない。それで、みんなで赤信号を渡り続けてきたのが原発事業の現実であり、ついに赤信号で事故が起こったのが福一原発だ。すべては金目に騙されてきた、あるいは積極的に金目に集って儲けてきた連中の仕業だ。

 しかし石原環境相の「つまりは金目か」発言は戴けない。それは原発行政を推進するために電力事業者が源泉となってばら撒いて来た金目と、明らかに意味の異なる金目だということが石原氏には解っていないことを露呈したからだ。
 原発推進の金目は反対派を押さえ込むワイロに近い種類のカネだが、中間処理施設の住民に対する金目は「賠償」や「補償」などの意味合いのカネだ。たとえば交通事故を起こして、被害者に賠償金を支払う際に「所詮はカネか」と発言すると、見識を欠くと批判されるのは当たり前だ。そうした程度の簡単なことすら石原環境省は理解できなかったようだ。

 その程度の人格者を国会議員として選出した有権者の不見識さを批判せざるを得ないし、その程度の人格者を大臣に据えた任命者の見識を疑わざるを得ない。そういえば、その政党は武力の保持と外交問題を武力行使で解決することを禁じた憲法を閣議決定で覆せると強弁し、今まさに「解釈改憲」を断行しようとしている。それほど不見識な連中の集まった政党だが、それを真正面から批判するマスメディアがこの国に存在しない不幸を国民は知らなければならない。立憲主義国家としての筋目を通さない政府に、国民の信は離れることを政治家は身を以って知ることになるだろう。


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