戦略特区構想で安倍政権は何をしようとしているのか。

 外国人をどうしても移民させたいようだ。<政府の国家戦略特区諮問会議(議長・安倍晋三首相)が12日、首相官邸で開かれ、竹中平蔵慶応大教授ら民間議員は国家戦略特区で外国人労働者の受け入れを緩和するよう提案した。首相は「追加メニューを出し続けることで(規制の)岩盤を打ち破ることができる」と述べ、追加の規制緩和項目を検討し、6月の新たな成長戦略に盛り込む考えを示した>(以上「毎日新聞」引用)

 岩盤のような規制をドリルで打ち破る、という表現を安倍氏は幾度か使っているが、「岩盤のような規制」とは一体なんだろうか。確かに「農地法」は現代の日常的な土地取引に立ちはだかる「岩盤のような規制」だが、その一方で年々転用される農地は良好な農業生産環境を破壊しているのも事実だ。
 物事には表裏があり、すべてに対して良い規制緩和が存在するわけではない。竹中氏が行った「派遣業法」の大幅な規制緩和が派遣という非正規社員労働者を増加させ、労働分配率低下の大きな原因を作った。派遣業の大幅な規制緩和は経営者側にとっては朗報だっただろうが、働く者にとっては労働環境が厳しくなり安定して人生設計が出来なくなった。物事にはプラスの面とマイナスの面があることを忘れてはならない。

 規制緩和といえばタクシー業やバス業の規制緩和は新規起業を容易くしたが、その反面利用者の安全性が脅かされる事態になっている。様々な観光バスが走るようになったが、想像を絶するような事故も多くなった。
 経営者が利益を挙げることも大事だし、利用者の利便性が拡大されることも大事だが、それにより何が犠牲になり何が切り捨てられるのかを慎重に検討することが必要だ。竹中氏はTPP参加後の米国流新自由主義社会の到来に国内整備しようと躍起になっているのだろうが、それなら米国社会の悪弊をじっくりと観察する必要があるのではないだろうか。

 米国は移民国家で、そもそも移民により成立した国家だ。しかし日本はそうではない。移民国家が果たして日本のような単一民族による国家よりも優れているといえるのだろうか。日本が移民国家を目指す必要があるのだろうか。
 竹中氏は日本を米国の州の一つにする腹積もりのようだ。米国様の要求にすべて従い、米国の要求を満たせば彼に安定した地位でも約束されているかのようだ。左派ではない「新自由主義信奉者」という新型の売国奴というべき人物なのではないだろうか。特区構想でまず先行した野放図な規制緩和を行い、それが成功だったから全国に広げるべきだという論理から済崩しに移民国家へ移行する手掛かりにする下心が丸見えだ。

 外国人の利便を促進して特区で起業させることよりも、海外展開した日本企業を国内へ呼び戻す方が優先されるべきではないだろうか。いわゆるUターン投資減税構想をこのブログで何度となく提起してきた。それも地域を特定して実施するのではなく、全国何処でも企業が必要とし望む場所へUターン投資すれば国家が固定資産税をすべて10年程度保障する投資減税を実施すべきだ。
 それらは海外展開すべし、という前後の見境なく評論家や経営者たちの流行の熱病によって実施された愚行だった。それにより国内の雇用は海外へ移転し、国内産業は空洞化してしまった。日本企業の海外展開が日本に何をもたらしたか、政府は立ち止まって考えて頂きたい。

 明らかになりつつある特区構想には反対するしかない。なんという愚かなことをやろうとしているのか、日本を移民国家に変貌させることが新成長戦略だというのは狂気の沙汰だ。外国人起業家に日本国家への帰属意識と日本社会への寄与を願うのは木に登って水を求めるようなものだ。彼らにあるのは目先の利益実現だけだ。そのためには日本社会を利用して日本社会を利用しの社会資本を搾り取ることを恐れはしない。嫌になれば帰れば良いだけだから。所詮は出稼ぎ先に過ぎない。新自由主義者竹中氏の謀略に嵌められた安倍政権は何処へ行こうとしているのか、その行く先は明らかだ。いよいよ1%対99%の戦いの火蓋を切らなければ何処までも押し込まれてしまうぞ、野党政治家諸君。


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