自公が軽減税率適用範囲について協議とは片腹痛い。

 与党が来年10月から消費税10%にした場合の軽減税率の適用範囲について<消費税率を低く抑える軽減税率制度に関して、自民、公明両党は対象品目を、生活必需品で購入頻度が高いものに絞り込む方針を示し「まずは飲食料品分野を想定して検討」としている。酒や外食を除くなどの8案も提示>(以上『時事通信』引用)という議論を行ったという。
 来年10月から10%消費税を国民に課す状況にあると、与党幹部たちは看做しているのだろうか。現在の経済環境をどのように判断しているのか、まず経済指標とその判断について見解を聞きたいものだ。

 消費者物価の上昇はこの四月からの消費増税分だけで3%あるというのに、それに対して個人の可処分所得がそれ以上に伸びているとは思えない。この国のマスメディアは消費増税にも拘らず、国民の消費意欲はそれほど後退していないと、楽観的な報道を繰り返している。
 特定の大企業と公務員に偏ったこの春のベアを、さもすべての企業で行われたかのように報道していたのもこの国のマスメディアだ。しかし実際はベアどころか年金の減額などもあって、個人の可処分所得は減少している。この四月末から五月にかけてのゴールデンウィークで<国内旅行者数全体では2196万2000人と、前年比3.6%減。 海外旅行は同11.4%減の47万4000人>となったようだ。

 何年か振りのベアがあって国民が景気回復に沸き立っているのならG.Wで旅行する人が去年より減少するのは理屈に合わない。個人消費がそれほど落ち込んでいないとのマスメディア報道が嘘か真かは7月末に出てくる四半期ごとの経済統計を見れば明らかになる。
 家庭の実感からいえば消費者物価は消費増税に便乗してかなりの範囲で3%以上も上昇している。モノによっては消費税8%を従前の価格に上乗せしたのではないかというほど上がっているものもある。家庭を預かる主婦の目が厳しいのは私の家庭の場合だけではないだろう。

 それを来年10月から消費税を10%にした場合の『軽減税率適用』範囲を議論するとは片腹痛い。なにが『軽減税率』だ。8%に増税したものを一部据え置くというだけのものだ。しかも議論している範囲は極めて限定的だ。
 欧州諸国の消費税相当の税の税率が軒並み20%前後から遥かに超える税率である、と報道しているこの国のマスメディアは詐欺の片棒を担いでいる。それらの国では軽減税率は日本の現行消費税8%より軒並み低い。高消費税率で名高いスウェーデンですら生活必需品は7%になっている。英国では食料品や医療費や教育費は非課税だ。つまり0%になっている。日本も生活必需品、少なくとも食料品や医療費や教育費は非課税もしくは3%程度に低く抑えるべきだ。8%を据え置くのを『軽減税率』と表現するのは詐欺ではないだろうか。

 国税に占める消費税の割合は5%の時代ですら欧州諸国の20%と日本の21%は同水準にあった。つまり日本の消費税はすべての消費に課税するもので、欧州諸国と比較して決して低い税率とはいえないものだ。しかも法人税率を引き下げて『景気回復』を図るなどという、因果関係がまったくわからない政府説明をマスメディアが無批判に伝えるに到って、この国のマスメディア関係者は政府広報誌に堕してしまったのかと思わざるを得ない。
 法人税は企業収益に対して課税するものだから、現行でも1/4の企業しか払っていない。それよりも輸出企業が消費税の還付を受けているのを廃止にすれば10%議論をしなくて済むのではないだろうか。輸出企業は円安でかなり有利になっている。その皺寄せは輸入食料品高騰で消費者物価上昇をかぶる国民個人が負っている。個人から奪って法人を優遇するとはいかなる魂胆か、安倍政権の本当の姿を如実に現しているだろう。彼らは1%に奉仕する人たちだ。99%の国民の生活が困窮しようと、公務員と国会議員の報酬を元に戻して更に公務員報酬を上げるとは能天気もいいとこだ。税が足らないから増税するのなら、税を食う連中は少しは遠慮してはどうだろうか。


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