少子社会を止めよう。

 全国各紙が報じていたが、子供人口はこの一年間で16万人も減少したという。<「こどもの日」を前に総務省がまとめた人口推計(4月1日時点)によると、14歳以下の子供の数は1633万人となり、33年連続で減少した。総人口に占める割合は12・8%で、調査を始めた1950(昭和25)年から1300万人以上減った。政府や地方自治体は少子化対策を掲げるが、人口4千万人以上の30カ国の中でも最低水準で、一向に歯止めがかかっていない実態が浮き彫りになった>(以上「産経新聞」引用)

 子供は国家の宝である。子供のいない国家に未来はない。国家を支える税収も、その根源は国民による経済活動が担っている。国民の減少が続けばこの国の現在の仕組みを支え続けることは困難になる。消費増税をいかにしようと、経済活動が停滞し、あるいは減少していけば、消費税による税収は減少の一途を辿ることになる。
 税収が足りないから増税を続ける、というのは余りに無策に過ぎる。そんな財政運営なら官僚に有能な人材は必要ない。小学生並みの足し算と引き算が出来れば十分に勤まる話だ。

 このブログで何度か仁徳天皇の治政の言い伝えを取り上げた。庶民の竈から立ち上る煙が少ないのを嘆いて税の徴収を3年ほど止めたという話だ。
 だが安倍政権は増税に邁進し、配偶者控除も廃止しようと目論んでいる。その反対に法人税を減税しようとしているが、安倍氏は何をしようとしているのか皆目分からない。法人税の減税は外資を呼び込むなどと荒唐無稽な説明をしているが、先進諸国の中で40%と法人税率の高い米国に外国企業は一つも展開していないだろうか。それどころか、世界の多国籍企業は必ず米国に生産拠点の一つ以上を置いているではないか。

 意味不明な説明を繰り返すのが安倍政権の特徴だ。異次元金融緩和により経済規模が拡大し経済成長するというアベノミクスも意味不明だ。
 金融緩和は金融緩和に過ぎず、それは貨幣価値の付替えに過ぎない。確かに貨幣を中心とする経済には影響を与えるが、消費財を生産する製造業を中心とする実体経済に大きく影響を与えるものではない。

 金融緩和は本来なら銀行金利を低下させ、銀行融資を促進して企業の投資行動を活性化するものだった。しかし異次元金融緩和をはじめる前から金利は異次元というべき低率にあった。
 だから異次元金融緩和は日銀から大量に出庫された紙幣は一部が投機資金へ流れ込み、大部分が国債購入に充てられた。つまり国債の正常な市場性を破壊したといえなくない。日銀が異次元金融緩和を停止した際、日本国債は誰がどの資金を使って引き受けることになるのか、金融緩和を縮小した際に何が起こるか、アベノミクスを持ち上げて来た評論家諸氏は御説明して頂きたい。日本の金融緩和策に米国のような出口戦略があるのだろうか。

 一般会計予算100兆円はこの国の経済規模の身の丈に合ったものだろうか。そして国債残高1000兆円はマトモな財政運営で返済可能なものだろうか。
 このブログで山と積み上がった国債残高の返済はインフレーターでしかできないと何度となく断じて来た。5%のインフレなら50兆円返済したのと同じことになる。だからデフレからの脱却に賛成するが、そのためには経済成長が絶対必要だと前提を掲げた。5%のインフレを社会が許容するためには経済成長率5%以上が必要だ。それだけの経済成長を達成していなければ国民は実質所得減となり生活が困窮するだけだ。

 だから金融緩和は経済成長策と抱き合わせて実施すべきと提起してきた。しかし安倍政権は異次元金融緩和は安倍氏に忠実な日銀総裁が就任するや直ちに実施したが、経済成長策の方は実体として何も施されていない。ただ金融緩和すれば円安となり輸出関連産業が活況を呈して景気が改善されるだろうと期待していたようだ。
 だが、輸出関連企業は異常な円高が続いていた間に海外展開してしまっていた。特に中国へ生産拠点を移した企業は累計5万社に達し、現在でもなお2万3千社が中国で操業している。アベノミクスが描いていた『風が吹けば桶屋が儲かる』理論はこの時点で破綻している。

 経済成長策は短期と長期の両面から実施すべきだ。国内産業を活性化しなければ何も始まらない。株高に狂喜しても投機家たちを潤すだけで、それが本来の企業調達資金を潤沢化させて企業投資を活性化する循環が起こるはずだった、と経済評論家たちは考えていただろう。
 だが企業は中国へ展開した生産拠点を国内へ回帰させるために『損切り』するには負担が余りに大きいと躊躇している。中国政府は日本企業が撤退しようとするや、従業員たちに莫大な退職金を要求させ、生産装置や機器の持ち帰りを法令で阻止し、中国で儲けた企業利益の日本への送金を禁じている。そうした超法規的な中国リスクにより中国へ展開した企業の多くは困難に直面している。

 だからUターン投資減税を行うように早くから提起してきた。企業の方針転換を容易にするためには政府が支援するしかない。中国へ移転して生産拠点を『損切り』しても見合うだけの支援を日本政府が実施すべきだ。
 今後とも国際条約を無視した『戦争賠償』を中国民が求めて中国に展開している日本企業を狙い撃ちにする動きは加速・拡大するだろう。それでも中国は日本企業にとって有望な労働市場だろうか。

 日本を強くするには短期的な経済成長策と同時に、長期的な経済成長策を実行することが必要だ。短期的にはUターン投資減税だが、長期的には少子対策として子供手当『投資』だ。
 少子対策は未来への投資だ。女性を労働力として是が非でも刈り出そうと政府は策動しているようだが、そうした愚かな政策は直ちに止めることだ。配偶者控除を廃止して、女性を家庭から追い出したところで、女性のマトモな働き口をどれほど企業が用意しているというのだろうか。未来への投資の子育てに専念することが、なぜ政府の御機嫌を損ねることになるのか解らない。安倍氏が不幸にして子宝に恵まれなかったことが、そうした政策の発想に繋がっているとしたら安倍氏に個人的な問題と、国家の問題を混同してはならないと強く警告するしかない。
 古の歌人も『子は宝にしかめやも』と詠嘆している。奇しくも今日は子供の日だ。子宝がこの国に増えるように祈念するしかない。


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