戦略的経済特区構想は何を目指しているのか。

 狂気の沙汰としか思えない、と戦略的特区構想に次々と打ち出されるメニューを見ていて正直にそう思う。全国の大都市圏と東北などに『戦略特区』を指定して、例えば東京などの大都市圏では容積率の緩和などによる巨大ビル建設などによる都市再開発を促進し、そこに特区構想委員の竹中氏が推奨する『特区解雇』の限定正社員構想や起業促進策などを打ち出すというのだ。
 そして千葉県や栃木県などでは特区構想に医大の建設をして、国際的に活躍する医師を養成するとしている。その他の地域の戦略特区にも医大新設の構想が持ち上がり、全国80の国公私立大学で作る全国医学部長会議は『世界トップレベルの研究者の養成は医学部よりも大学院の役割で、海外のすべての医療ニーズに対応できる医師養成は非現実的」などと反対声明を発表した。

 その他にも戦略特区構想の中に『道州制』の議論を持ち込むなど精神分裂の様相を呈していて、安倍政権は『戦略特区』で何をしようとしているのか意味不明だ。ただそこに大安売りの特売場のように乱発される言葉を見ると『グローバル』や『岩盤規制打破』などといった小泉・竹中『構造改革』当時の文言がものの見事に甦っていることに驚かされる。
 特区構想はTPP参加後の米国の要請を受け入れる素地作りではないかと思わざるを得ない。そこでは米国流義をすべて受け入れ、国内の他地域との整合性はものかは、何でもアリの状況を作っておこうとしているかのようだ。

 それで国民に一体どんな成果がもたらされるというのだろうか。国内にダブルスタンダードを持ち込み、それも極めて米国流の格差社会を創出した制度を特区内で実験しようとしているようだ。
 戦略特区に指定される地域に暮らす国民生活をメチャクチャにしてまで、米国流義に変更することが『戦略特区』の目論見だとしたら飛んでもないことだ。既に米国社会は1%の人たちの最大利益に99%の人たちの富が搾り取られる制度だということは明らかになっている。99%の人たちにとって貧困層に落ちるしかない制度が日本国民にとって望ましい制度なのだろうか。

 配偶者控除を廃止することは結婚して家庭を営む意義の一つを廃棄することに他ならず、扶養者控除の改変は家庭そのものの構造を破壊することに繋がりかねない。婚外子の人権を尊重することと家庭形成を破壊することとは全くの別物だ。
 さらに竹中構造改革により雇用形態を大きく変貌させて国民は幸せになっただろうか。国内産業は最大利益を享受しているかもしれないが、それによりグローバルな国際企業に脱皮しただろうか。企業の成長に欠かせないのは人材育成だという基本原理を無視して一体どのような企業を竹中氏たちは造ろうというのだろうか。

 米国流の1%対99%の対立社会を創出する策動に賛成できない。そうした派手派手な鳴り物入りの『戦略特区』構想よりも、すべての地域に平等にUターン投資減税やIターン投資減税を実施して、すべての地域に雇用が創出されるようにすべきだ。日本の国土と日本企業は日本国民のためにあるべきで、米国の1%の人たちに奉仕するためにあるのではない。ましてや、来るべきTPP社会に備えるものであってもならない。日本には日本の伝統と流儀がある。米国投資家が日本に進出するのなら、日本の伝統を重んじて日本の流儀に従うべきだ。


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