日本もG7の一員として一致してロシアにクリミア半島への侵略を批判し行動すべきだ。

 事実上クリミア半島に軍事侵攻したロシアに対して、米国と欧州諸国と日本の足並みが乱れていたがここに来てやっと揃ったようだ。G7はロシアによるクリミア併合は、国連憲章やヘルシンキ宣言、1994年のブダペスト覚書、97年のロシア・ウクライナ友好協力条約などへの「明白な違反」だと強調し、それに反した行為をロシアが行えばG7は一致してロシアに制裁を課すとした。
 日本も谷内内閣危機管理室長がロシア外相と会談し日本もG7の一員としてロシアのクリミア半島支配に対して批判し、16日の住民投票が実施されてもその結果は無効だとする立場を示した。

 国連憲章には民族自決の大原則が記されている。いかなる国家もそれを脅かしてはならない。それは欧米列強がアフリカやアジア諸民族の地を植民地化した反省に基づくものだ。彼らはまさに「植民地」として現地人を牛馬のように使役し、資源を収奪して本国の繁栄を謳歌した。
 かつて英国も「七つの海を支配する」だとか「日の沈まない国」だとか自称して侵略国家を謳歌したものだ。欧米列強諸国は世界に植民地を求めて熾烈な軍事侵略を繰り返していた。それも遠い過去の話ではない。つい先の戦争で日本軍が東南アジアやインドで戦った相手はまさしくそのような植民地経営していた欧米列強と戦ったのだった。

 先の大戦で日本は敗れたが、東南アジア諸地域で欧米列強の軍を撃破したことが呼び水となり、戦後植民地の独立運動が澎湃として湧き上がり、アジアのみならずアフリカまで植民地が国家として独立を果たした。
 しかし旧ソ連は20世紀の終わり近くまで周辺諸地域の異民族支配をやめようとしなかった。そして旧ソ連の崩壊を契機として周辺異民族は陸続として独立を果たした。ベネルック三国や中央アジア諸国などが成立したのもソ連崩壊によるものだ。

 ウクライナもソ連崩壊により独立を果たした。しかし黒海から地中海へ睨みを利かせていたクリミア半島のソ連艦隊の軍事基地をロシアも継続して保持するためにロシア軍事基地の継続駐留をウクライナに認めさせた。ウクライナと日本は非常に似通った立場にあるといえるだろう。
 米国も日本が米国にとって戦略的に重要な地理的位置にあることから進駐米軍を撤退させることなく、引き続き在日米軍として70年近く日本国内に居座っている。クリミア半島はまさしく日本そのものだ。ただ異なるのはクリミア半島にはロシア人が大量入植して人口の六割を占めるに到っているが、米国は日本に米国人の大量入植政策を取らなかった。

 移民と入植は異なる。移民は移住した土地の国家に忠誠を誓うが、入植は本国人のまま移住する。つまり本国に忠誠を誓った人たちだ。だからクリミア半島の住民によるクリミア半島の帰属先を決める住民投票をG7は認めるわけにはいかない。それは北方四島の帰属先を北方四島の住民投票で決める、とした場合に日本政府が認めるわけにはいかないのと同じことだ。
 軍事力を背景としたいかなる国のいかなる他民族支配に対しても反対する。民族自決を妨げる企ては自爆テロを誘発するだけだ。バネを押さえ付けていても、ついには元に戻るように、他民族を支配するというのは幻想に過ぎず、いつかはすべてが灰燼に帰し、民族独立の動きを永遠に封じることは出来ない。

 クリミア半島に入植したロシア人はいつかはロシアの地へ戻らなければならないことになるだろう。短期的にはクリミア半島をロシアが支配したとしても、それは短期的なことに過ぎない。たとえ16日のクリミア半島住民による投票結果を楯にロシアがクリミア半島を併合しても、それでクリミア半島がロシアのものになるわけではない。力で捩じ伏せても、タタール人の反ロシア感情がしこりとして残るだけだ。民族間の反目は未来永劫に続くことになる。そうした悲劇の種を撒いている愚をプーチンは自覚すべきだが、マッチョオタクの独善家には無理な注文なのだろうか。しかし民族自決を掲げてG7は共同歩調を取るべきで、日本も決してその歩調から遅れてはならない。


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