ベアを絶賛報道するマスメディアと町中景況感との間に隔絶の感のあるのはなぜだ。

 春闘始まって以来のベアだと、この国のマスメディアは発狂したかのように煽りまくっている。組合の要求が軒並み満額回答でサラリーマンは盆と正月が一遍に来たかのようなハシャギぶりだ。
 しかしそれらは全労働者の0.3%に過ぎない大手の回答で、いわば内部留保を溜め込んでいた企業がやっと重い腰を上げて労働者へ当然還元されるべきであった企業業績の一部を分配するに過ぎない。その他大勢の中小零細や派遣社員などはカヤの外に置かれたままだ。

 街中で一般大衆に聞くと物価は上がるが実入りは目減りするばかりだ、と絶望的な声が聞こえてくる。なぜマスメディアが躁状態で大手だけの出来レースベアを持ち上げてハシャグのか。それは安倍政権からの要請だからではないだろうか。
 そもそも今春闘のベアは安倍政権の要請によるものだ。ペアをしてくれれば法人税率を引き下げるよ、という経営者側との取引があった上でのベアだ。なにも雇用状況が1を上回って人手不足が深刻になり、人員確保のために給与をアップする、という経済原理に基づくものでないのは確かだ。しかし、古来からの喩に「無理が通れば道理が引っ込む」という言葉があるのを忘れてはならない。

 いよいよ来月に迫った消費増税に安倍政権は怯えている。やっと持ち直したと思い込んでいる景気が腰砕けになっては長期政権を目論んでいる安倍政権の屋台骨が揺らぐことになるからだ。
 しかし現実は甘くない。GDPの4割以上を占める個人消費が経済成長の主力エンジンなのは指摘するまでもない。公共事業や法人投資の一割台の補助エンジンで日本の景気が完全回復するほど日本経済は軽量ではない。500兆円という重厚な実体経済を浮揚させるには個人消費という主力エンジンが着実に稼働しなければ元も子もないのは誰でも知っている。

 だが安倍氏とその取り巻きたちはそう思っていないようだ。消費増税で個人消費を痛めつけても、大盤振る舞いの公共事業や法人税減税で補助エンジンを全開すればどうにかなると勘違いしている。
 橋本政権下で消費税を3%から5%に引き揚げた際の劇的な景気後退が橋本政権の退陣の直接的な原因となった教訓を忘れ去っているようだ。その後、小渕内閣で個人所得の増大に努めて「恒久的所得減税」を打ち出したのも、いまの政治家たちはすっかり忘却の彼方のようだ。能天気な政治家たちが財務官僚の言いなりになって増税に相務めているが、税の持つもう一つの機能「富の再配分」をすっかり、これまた忘却している。

 いつから日本は痴呆国家に成り下がったのだろうか。歴史に学ばない、と近隣諸国から捏造プロパガンダを吹き込まれて歴史に拒絶反応を持ってしまい、ついには昨日の出来事まですっかり忘れる特技が身に付いたようだ。
 これまで何度も書いてきたが、この四月から日本の景気は腰折れとなり、深刻な事態に陥るだろう。角を矯めて牛を殺すという言葉があるが、官僚たちの御機嫌を伺って政治をやっていては、ついに国民は報われない。


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