4四半期連続GDPが拡大というが、

 GDPが4四半期連続対前年比増だという。年率換算で1%の伸びだというが政府が当初目指していた2,6%成長は困難になった。更に来年度予算に盛り込まれている5兆円の景気対策が主として公共事業で、現状ですら人手不足とセメントや鉄骨材などの資材不足から高騰を招き地方自治体の入札で相次いで不調という事態が起きていて、景気対策が着実に実施できるのか危うい。
 たとえ実施できたところで公共事業はカンフル剤ほどの効き目もないことは既に明らかになっている。その上、ここしばらくの大雪被害により自動車産業などで部品供給に支障が出ていて稼働率を下げざるを得ない事態になっているという。他にも個人消費の大きな部分を占める家電製品の売り上げも捗々しくない中、大雪による輸送の停滞は個人消費の足をも引っ張ることになりかねない。

 政府が掲げて来た景気回復策は当初目論んだほどの成果が出ていないことは明らかだ。企業投資も対前年比1%程度の伸びに留まり、円安による国内製造業の回復が限定的だということも明らかになっている。
 しかも今後予想される中・韓経済の悪化による日本経済に対する影響も少なからず出ると予測せざるを得ないため、新年度以降の経済環境に明るい日差しが見出せない。4月以後、消費増税により個人消費の落ち込みは政府や御用シンクタンクが予想している<短期・限定的>という見通しより悪化すると見る方が正しいだろう。

 世界の投機家たちもアベノミクスの実態を知って来ているようで、ここ数日来株式市場も低調になっている。それにも拘らず政府の「本格的」な経済対策の法人減税と投資減税を実施するという「経済特区」構想も目玉だと宣伝された割には産業界で地域指定を売れようとの運動が盛り上がっていない。
 それも特区指定は東日本の被災地と沖縄が決まり、他に数ヶ所と掲げているが、政府のお気に入りの地域に恣意的に決められるのであって、日本経済の見地から決められようとしていないことが歴然として来たからだろう。

 かつて経産省の全国産業総合計画が何次にもわたって実施されたことがあった。それにより地域の核となる港湾や道路が整備され石油化学コンビナートの生育や各種化学産業の発展に資した。
 しかし今回の「経済特区」構想はそうした日本産業構造転換を促すようなものでないことは明らかだ。いや経産省官僚に明日の産業構造とはいかなるものかが解っていないというべきかもしれない。だから官僚のシモベとなっている政治家から明確な「特区」構想のイメージが語られず、国民にも何のことか不明なまま安倍政権成立以来、政権として確たる経済産業対策が打たれない空白の一年半が経過した。ただ「異次元金融緩和」が実施され紙幣を印刷する輪転機が回り続けているだけだ。

 米国のFRBは金融緩和を縮小して出口戦略を模索し始めているが、日銀はどうするつもりなのだろうか。金融緩和は紙幣の信用下落を伴い、インフレを引き起こす副作用を持っている。そろそろインフレ対策を小出しにし始める時期ではないかと思うが、消費増税による消費者物価3%の上昇・インフレをいかにして経済の中に吸収するつもりなのだろうか。
 ただ消費者に負担だけを強いて、景気対策は公共事業を主力とした5兆円で了とする、というのでは景気は確実に悪化するだろう。

 橋本政権が経験した「景気の腰折れ」を再び安倍政権は再現し、橋本政権の退陣劇を安倍政権も繰り返すことになるだろう。その序章が政府見通し2,6%が1%に留まったという数字に表れている。
 政治は結果だ、と豪語する安倍氏はその結果により退陣を突き付けられる。今年はマスメディアの安倍氏支持率が60%を超えているという「世論調査」を何度繰りし報道しようと、景気悪化の現実に国民の安倍政権に対する不支持は顕在化するだろう。野党も再編ごっこで遊んでいる暇はない。政治家なら人に対する好悪の念ではなく、政治理念により離合集散すべきだ。


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