官僚は自分たちの待遇改善には熱心だが、補助事業に働く人たちの待遇改善は。

 保育園の保母さんが不足しているという。西日本新聞によると<資格があるのに保育士の仕事を希望しない人の半数近くが「賃金が希望に合わない」を理由に挙げていることが5日、厚生労働省の調査で分かった。待機児童問題が深刻化する中、政府は保育士不足の解消に向け、保育の仕事をしていない有資格者「潜在保育士」の活用を掲げいるが対応が待たれる>(以上「西日本新聞」引用)とある。
 保母さんたちの待遇は概ね厚労省の定める措置費の範囲内で支給されている。その給与基準がどのようになっているのか、国会議員はちゃんと審議しているのだろうか。同様に特養やグループホームなどで働く介護士の待遇も依然として改善されず、若い人たちが就職しても短期間で職場を去っている現状がある。

 補助事業に定めるそれら有資格勤労者に対する労働の厳しさの割に報酬が低すぎないだろうか。官僚が定める予算措置の人件費の査定は一体どうなっているのだろうか。公務員に準ずる給与水準にあって良いはずの補助事業で働く人たちの待遇改善は数十年も以前から指摘されているものの依然として低水準のままだ。
 その打開策として厚労省は介護士に給与水準の低い東南アジアの人たちを導入しようとしているが、それこそ本末転倒で東南アジアの人たちをバカにしてはいないだろうか。日本国民が敬遠する仕事の割に待遇の悪い職を放置したままで良いはずがない。安倍政権は待機児童ゼロを目指すというが、それなら保育士に対する待遇を改善しなければならないだろう。

 人が人を世話する仕事は大変だ。幼児や高齢者を世話する仕事は責任も重大だし、国も従事者に対して資格試験を設けて一定以上の学識と研修を義務付けている。それなら専門職に見合うだけの待遇を保証するのは当然のことではないだろうか。
 たとえば高齢者施設で働く男性介護士は待遇の低さからなかなか結婚できないという。そのためせっかく就職した施設を退職する有資格者が絶えないという。それによって施設の人件費が低く抑えられる、という考えも本末転倒だ。

 人事院は公務員給与に関しては頑なまでに減給に抵抗するが、それなら公務員に準ずる補助事業の中の人件費水準に関して何らかの「勧告」をすべきではないだろうか。自分たちさえ良ければ自分たちが直接手を下さない全国各地の公的事業に従事する人たちの待遇がどうであろうと関与しないというのでは話にならない。
 日本にはこうした待遇の差別が公然と存在している。官僚や政治家たちは大きな顔をして「国はこれこれこうした事業を行っている」と胸を張るが、実際に現場で働いているのは官僚や政治家たちではない。実際に現場で働く人たちこそ処遇すべきだ。こうした待遇の差別は公務員や公務員に準ずる職場にこそ厳然として存在している。たとえばNHKの正社員は平均年俸1000万円以上の高級を手にしているが、受信料契約などで各戸を回っている「契約社員」は歩合給などの低賃金にあえいでいる。高級を手にして大きな顔をしている局長やディレクターたちも時にはNHK受信料を支払っている全国の各戸を回ってみることだ。

 官僚たちも時には現場の保育園や幼稚園で働いて、彼らが予算措置している人件費が適切なものかを考えるべきだ。高齢者介護施設で働く人たちと一緒になって霞ヶ関の官僚たちも現場で半年ないと働いてみることだ。そうすれば目から鱗が落ちるだろう。保育士や介護士たちがいかに大変な業務に従事しているか、身を以て知ることが何よりも必要だ。
 机上の空論で「待機児童ゼロを実現します」と国民と約束するのなら、現場の労働実態をまず知らなければならない。

 

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