国民年金納付率の改善案を提示しているが、まずは暮らせる国民年金を支給すべきだ。

 厚労省は国民年金の納付率が依然として59%と60%を切っていることに制度維持に危機感を覚え、現在臨時措置として10年以前にさかのぼって納付できる制度を延長することにした。ただ今後は遡れるのは10年ではなく5年に短縮するが、運隊金利をサラ金並みの14%台から9%台に引き下げるとしている。
 しかしそのような小手先の改正で国民年金の納付率が飛躍的に改善されるとは誰も思わないだろう。現在、1号から3号まである国民年金加入者でも問題なのは自営業者や派遣社員が入っている1号被保険者ではないだろうか。1号被保険者は国民年金しか手に出来ず、一人当たり平均給付月額5万5千円では暮らせないのは火を見るよりも明らかだ。

 それでなくてもワーキングプァーと呼ばれる臨時や派遣の境遇で働く人たちが国民年金の月額1万5千円を超える掛け金を支払うのはかなり困難だ。ワーキングプァーの実態は公務員臨時職として働く人たちの実態が昨日の産経新聞に掲載されている。臨時職員の割合の多い地方自治体では全職員の半数を超える人たちが臨時や派遣で、彼らの年収は200万円前後でしかない。
 そうした人たちが加入する国民年金がそうした人たちの老後までも脅かすというのは国家としていかがなものだろうか。社会保障とは「負担は応能で、支給は一律」というのが大原則だ。現役時代に加入していた年金制度と支払った年金保険料により受給する年金給付額に莫大な格差がある現行制度は社会保障というよりも年金会計と国庫から制度上優遇されている高額給与所得者と共済年金加入者が優雅な老後の暮らしを維持するために掴み取る制度でしかない。

 社会保障制度とは例えば医療保険制度のように高額な医療保険を負担しているものは入院時に優先的に個室に入り高度医療を独占的に享受できるようにはなっていないことから明らかなように、支給される時点では一律適用が原則だ。年金だけが現役時代の職種や掛け金に応じて年金を受給できるという、一種の「財産権を買う」制度になっている。それは既に社会保障の概念から外れている。
 さらにいえば、生活保護費以下の給付金でしかない国民年金の掛け金を毎月40ヶ月も掛け続ける奇特な人が少ないのは当然ではないだろうか。国民年金納付率が低いのはそれなりの原因がある、となぜ厚労官僚は年金制度の抜本的な改革案を提起しようとしないのだろうか。それは彼らが手にする共済年金の額が減少することに繋がるから口を閉じて黙っているだけなのだろうか。もしそうなら官僚や官僚の下請けに堕している厚労族議員に任せていては国民のための年金制度改革はいつまでたっても出来ない。本来ならマスメディアなどの言論界が問題提起すべきなのだが、彼らもとうの昔に官僚の広報機関に成り下がっている。せめてはネット市民が年金制度の抜本改革を求める声を上げて社会保障制度たる年金の在り方の一石を投じるしかない。


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