育休給付67%引き上げ策の恩恵に浴すのは、

 少子化対策の一環として政府は育休給付67%引き上げを検討しているようだ。その他にも配偶者が海外勤務になった場合、育休期間を三年に引き延ばし、まずは公務員などから実施しようとしているようだ。
 それはそれで良いのだが、育休給付を受給できるのは正社員に限られていることを忘れてはならない。そして企業に十分な競争力がなければ休んでいる社員に67%もの給与を支払うのは困難だ。それなら日本国内で企業展開するよりも、海外へ移転する方が良いと経営者が判断しかねない。

 政府は国内企業負担軽減と称して法人税減税を実施しようとしているが、それも利益を上げて法人税を支払っている企業だけにしか恩恵は及ばない。
 なぜ「負担は応能で、支給は一律」という社会保障の大原則を適用しないのだろうか。利益を上げている企業や高額所得者に対して応分の負担をお願いするのは当然で、働いている態様によって67%の育休保障が得られるというのは格差を助長するものでしかない。

 なぜすべての日本国民の子供に対して十分な「子供手当」を支給しないのだろうか。そうすれば働きたい者は働けば良いし、子供を託児所に預けたい者は預ければ良いという選択肢が選べるだろう。
 現状では不十分な子供手当しかないため、子供を託児所や保育園に預けて働かざるを得ないため待機児童の問題が顕在化して、それも一つの格差になっている。つまり幸運にも預けられた者は国や地方自治体が負担している「措置費補助」が無形の公費支給となって恩恵に浴するが、預けられなかった者はそうした補助金を得られなかったことになる、という確定的な格差を受け入れざるを得ないという不公平だ。

 しかし子供手当を十分に支給し、その代わりに保育所や託児所への補助金を極端に削減すれば、自分で保育しようとする者が増えたり、あるいは母親がグループ化して自分たちで有資格者を雇用して託児所を開設することもあり得るだろう。そうした自由で多様な少子化対策が民間の活力で展開できるように十分な子供手当を支給することがあらゆる問題解決の原点だ。
 ただし、そうした動きに対して官僚たちは猛烈に抵抗するだろうし、官僚の御用新聞に成り下がっているマスメディアが徹底的に叩くだろう。なにしろ官僚たちの「制度事業」という利権構造に切り込むことになるのだから、かれらは省益のために全力で反対するだろう。だから現政権が「待機児童の解消」を主張すればマスメディアが諸手を挙げて後押しするのだ。

 幼稚園や保育園に主導力を持たせる厚労省官僚による少子対策はおかしい。なぜ子供を抱える家庭に主導的な選択権を渡さないのだろうか。どのように子育てするかはそれぞれの家庭個々の考え方と諸事情を複合的に勘案して決めるべきモノのはずだ。
「待機児童の存在が問題だ」だから「保育園や幼稚園を造るべきだ」というのはおかしい。今後新生児は増加するのか、今後幼稚園はさらに不足するのか。自由に親が子育てをどうするかを選べる時代になっているのではないだろうか。

 育休給付67%は、貰える環境にある人にとっては素晴らしい政策だ。しかし非正規などの「育休」とは無縁な人たちにとってはどうでも良い政策だ。そして海外勤務の配偶者に限って公務員などの産休期間を三年に延長というのも、財務省が宣伝するこの国の財政状況からして本当に国民の合意が得られる政策なのだろうか。彼らは本気で財政再建をしようとしているのだろうか。すべてのツケを国民に回して、自分たちだけヌクヌクとしていれば良いという料簡なのだろうか。腹立たしい限りだ。


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