民主党が党改革案を取り纏めたというが。
民主党は20日の党常任会で22日の全国幹事会で提起する党改革案を取り纏めたという。その骨子は「消費増税」「TPP参加」「社会保障制度」「集団的自衛権」などで安倍政権との対立を鮮明にするという。
国政選挙や東京都議会選挙での相次ぐ大敗で、なにはともあれ党改革のために急いで取り纏めたのだろう。が、拙速はさらなる党勢衰退を招くものだという認識はないのだろうか。
安倍政権との対立軸を示すのは野党として必要だが、単に政策ごとの反対なら民主党は必要ない。政権与党のすべての政策に反対を貫く共産党だけで十分だ。
常任幹事会にいかなる政策を提起したのか詳細は知らないが、民主党が野党の盟主として政界再編における野党結集の中核になるために、いかに党改革すべきかという根源的な命題を掲げて議論したのかが気になる。政策ごと、案件ごとの反対なら単なる野党というだけに過ぎない。
安倍政権の個別的な政策に対する「反対」を掲げるためなら民主党全国幹事会を開く必要はないだろう。なぜ根源的な政党理念について話し合わないのだろうか。
国民がなぜ民主党を見限ったのか、という問いが党内で議論されないとしたら党改革とは程遠い党内意見調整程度の会議でしかないといわざるを得ない。なぜ2009総選挙で国民の支持を得て政権交代を果たした党勢が劇的に衰退したのか。そこにどのような民主党の「変化」があったのか、という反省がなされたのだろうか。
なぜ民主党支持者が民主党を見限ったのか、端的にいえば国民政党から官僚政党に変節したからだ。国民政党として2009マニフェストに掲げた象徴的な政策は「子供手当」と「最低保障年金」と「高速道路無料化」などであった。
それに対して官僚とマスメディアは団結して徹底して叩いた。なぜ叩いたのか、それは彼らが安住していた利権構造を破壊するからだ。
財源捻出に民主党が取り組むべきは事業仕訳ではなく、公的会計の改編だった。特会潰しに血眼になるよりも、公的会計を国も地方も複式簿記にして企業会計原則に準拠した原則を確立するだけで特会は「総額主義の原則」により自然と解消されることになる。
中途半端なIT化に留まっている各省庁バラバラのシステムを、複式簿記導入による会計システム構築により統合することも簡単に達成できるはずだ。それは国のみならず、地方自治体も含めた「公的会計」の連結決算も簡単に出来るはずだ。
そうした抜本的な改革を掲げて、政党理念として99%の国民の側に立つ政策を掲げようとする動きの中で安倍政権の推進している個別的な政策を検証すれば良いのだ。はじめから対立軸ありきで安倍政権の政策を批判しても、国民はウンザリするだけだ。
2009マニフェストを反故にして民主党を支持した有権者を裏切ってきた「民主党」と、何処がどのように変わったというのだろうか。それなら何でも反対の共産党と何処がどう違うというのだろうか。
菅・野田政権批判なくして「消費増税」反対は出来ないだろう。官僚たちに唆されて国民を裏切った張本人たちを党から追い出さなくて、何が党改革だ。誤魔化しの「民主党」ごっこで国民の目を欺けると本気で考えているとしたら民主党は余りにお粗末だ。
徹底した自己批判により、言葉通りに民主党を二分する改革なくして民主党再生はあり得ない。「消費増税」をリトマス紙にして賛成者たちを民主党から追い出し、「消費増税」反対により民主党から出て行ったかつての仲間を呼び戻すべきだ。そうした抜本的な改革により、民主党を2009マニフェストの原点に戻すことが党再生の出発点だ。
民主党内でチマチマした議論をするぐらいなら、なぜ広く国民に「民主党再生への提言」を公募しないのだろうか。それぐらいしないで抜本的な党改革が出来るはずはない。
それとも民主党も官僚化して民主党という党組織の中で「官僚化」してしまったのだろうか。そして政党助成金、という利権にしがみつくだけの自己利益擁護のジコチューたちの集団に堕してしまったのだろうか。それなら何も言う必要はない、勝手に消滅したら良いだろう。