「消費増税」を目的とした議論には驚く。
新たな税の徴収は歳出の必要性から要請されるわけだが、様々な消費増税議論を拝聴していると増税のための増税議論ばかりで驚きを禁じ得ない。もとより、税は国民の「生命と財産の保全」と福祉のために使われるべきものだ。
それを「国際公約」だからとか「国債金利の上昇を防ぐため」とか、意味不明な理由を述べる評論家諸氏には「御用」の称号を進呈したい。
消費増税して税収が増えると考えるのは余りに稚拙だ。この二十年に渡るデフレ経済で国民所得は減少の一途をたどってきた。
いまだに個人所得は増加に転じていない。それどころか全国の路線価は首都圏などを除いて毎年下落している。政府発表の4-6月期年換算成長率2.6%はとても信用できない。
今になって財務省は与党政治家に橋本政権下の2%の消費増税を実施した際の景気腰折れは消費増税のせいではないと書面まで作って説明しているようだ。まさしく歴史を捏造する中・韓もマッサオの愚かな行為だ。
現在は橋本政権下の経済状況よりも悪い。当時バブル崩壊から恢復期にあり、年率GDP成長は2.7%成長へ転じたばかりだった。現在は公共事業大盤振る舞いと「円安」インフレに見舞われても2.6%でしかない。この時点で消費増税を実施したらどうなるのか火を見るよりも明らかだ。
国民経済を痛めるためなら増税しても良いだろう。景気は腰折れとなって、再びデフレ経済の悪夢に叩き落とされるだろう。
国際的な信認を得ることは「円高」に振れることであり、金利も低率へと振れることだ。つまりデフレ経済の再現で、強い円により米国債の買い支えを期待している米国にとっては朗報だろう。
なにがなんでも消費増税すべきとする意見には驚く。政治は誰のためにあるのか。
むしろ所得減税を実施して、個人の可処分所得を増やすのがこの時期に採るべき税制のあり方だ。安倍政権とその御用評論家たちは消費増税して税収総額が結果として減少する、という橋本政権下の愚行を再び繰り返したいようだ。
財政再建で歳入ばかり議論するのは公正ではない。歳出削減こそ議論すべきだ。この国の予算が財政破綻の危機にひんした国の予算とは到底見えない。
乾いた雑巾をさらに絞る努力を官僚たちはしているだろうか。民間企業のコストカッターたちを主計局に臨時職で雇ってはどうだろうか。