日銀の独立性が黒田総裁で守れるのか。
4-6月期の景気が「回復」期にあるか否かは専門家なら判断が分かれるものではない。なぜなら年間GDP2.6%成長の内、政府支出によるものが1.8%で食料品等の物価上昇による個人支出の増加0.8%による数字によって押し上げられたものなら、景気が回復しているとは到底いえない。
それでも景気は「ゆるやかな回復」にあるとの見解を示した日銀は安倍政権の走狗になり下がったといわざるを得ない。むしろ景気判断で先行指標として重視すべきは企業の設備投資だ。それがマイナスというのは先行きが決して明るくないことを示している。
それでもテレビに登場する評論家たちは「景気判断としては見解が分かれるところですネ」などと能天気な解説をしている。円安と猛暑により消費者物価が軒並み上昇しているにも拘らず、景気が良くなるとも悪くなるとも云えない、とは何事だろうか。
そして最大の先行指標たる勤労者所得は依然としてマイナスから抜け出ていない。一部輸出関連企業だけが明るさを見せているが、それでもボーナスこそ奮発されたようだが給与の上昇までには到っていない。
それでも日銀は日本の景気は「ゆるやかな回復」期にあると断言できるのだろうか。家庭の可処分所得が減少して、何がGDP上昇要因になるというのだろうか。それとも黒田総裁が掲げたインフレターゲット2%だけは達成確実だから了とするつもりなのだろうか。飛んでもない通貨の番人だ。