景気動向を示す一致指数の6月分が低下した。
異次元金融緩和によるアベノミクスは金融政策だけの話で、政府が景気テコ入れのカンフル剤として古典的な公共事業の大盤振る舞いを去年12月の大型補正と今年の通年予算とで実施したものの、消化不良を起こしているが景気回復にそれほど寄与していないのは想像通りだった。
ただ12月の衆議院総選挙とこの夏の参議院選挙に際して、この場合は古典的な公共事業界主導選挙が投票率の低下も幸いして功を奏し、連続大勝を手にすることが出来た。それで自公国会議員は舞い上がってアベノミクスの御利益と欣喜雀躍のはしゃぎようだが、地方はそれほど自公政権に期待してはいないのが実態だ。
金融政策だけが先行する奇妙な政策運営に日銀までも中立性をかなぐり捨てて、財務省日銀局並みの政権奉仕ぶりには驚くばかりだ。しかし金融政策は所詮金融政策に過ぎない。
実体経済を改善するには経済成長の主力エンジンの出力を上げるしかない。つまり個人消費が上向かない限り、公共事業のカンフル注射による景気持ち上げも、効果は地域限定的で期間も極めて短期的なもので終わるだろう。
個人消費を改善するには雇用の拡大以外にはないのだが、その雇用も劣悪な非正規やパートではなく、正規雇用の拡大がなければ個人消費には繋がらない。安倍政権は先日の雇用統計でコンマ2ほど改善されて失業率が4%を切ったとアベノミクス効果だと大宣伝していたが、中身を見ればそれほど喜ぶべき話でもない。正規雇用はむしろ減少している実態が判明し、土木業のバイトや外食産業などのバイトが増えたにすぎないことは明らかだ。
なぜ投資減税、それもUターン減税を早くに打ち出し実施しなかったのだろうか。生産背錆びの投資が増えなければ個人消費の増にはならない。いよいよアベノミクスの化けの皮が剥がれ始めたのが、6月の景気一致指数の低下ではないだろうか。