「TPP参加により世界の成長を取りこめ」は為にする議論に過ぎない。

  日本のマスメディアは轡を揃えてTPP参加を促す論評を掲げている。TPPにより農業の法人化を促進し輸出産業へ脱皮させるだの、貿易拡大により世界の成長を取り込め、だのと非論理的な「TPPバラ色」の雰囲気作りに腐心している。


 しかし実態はどうなのかという議論は皆無だ。たとえば農業の法人化は議論され始めて既に久しい。しかし一向に進まないのはなぜだろうか。農地法などが法人化を阻むからだという議論もあるが、むしろ農業そのものが法人化に向かないからではないだろうか。


 


 たとえば産業でも機械化できる分野と機械化できない分野がある。医療分野や理・美容分野は機械化できない最たるものだ。法人化したところで、それは経営形態に過ぎず、実際の作業は対面手作業だ。


 農業もそうした面が強いだろう。機械の導入は進んでいるが、全面機械化が出来るのは「もやし」や「きのこ」類などの一部に過ぎない。ほとんどの作物は人が手作業で植物を育て生産する。その過程で機械を使っても、全自動ということはない。つまり法人化するメリットは資金運用や販路拡大や商談などの経営面だけに過ぎない。それなら法人化するメリットがそれほどあるとは思えない。


 


 それならTPP参加で工業分野の躍進が見込めるのか、というとそうでもないようだ。最も期待された米国の自動車分野の関税撤廃は30年間維持することで合意されたようで、TPP参加のメリットはない。むしろ米国流の仕組みを日本に強制されるデメリットの方が大きいといわざるを得ない。その最たるものが「軽基準」撤廃を米国自動車労働組合が要求していることだ。


 


 日本には日本の国内事情がある。すべてを米国基準にすることはデメリットが余りに大きい。明治時代の先人が「関税自主権」を奪還するためにどれほど努力したか、忘れてはならない。


 独立国家の三要件(軍事統帥権、徴税権、関税自主権)の一角を構成する大事な国家権利を放擲するのがそんなに素晴らしいことなのだろうか。むしろ軍事進攻を伴わない植民地化戦略の一環ではないかと用心すべきではないだろうか。


 


 実態のないアベノミクスを囃し立てるマスメディアはそれほど深刻な害毒をもたらさない。今度の参議院選挙は自公が圧勝するだろうが、実態のないスローガンだけのアベノミクスの化けの皮が剥がれるのは時間の問題だ。


 しかしTPP参加は実害を日本社会にもたらす。農業や工業などの生産製品だけではなく、社会の仕組みや制度までも「非関税障壁」と称する概念で米国流を強制される。その方が影響は深刻だ。いわば日本の文化や習慣までもが破壊される恐れが大きいのだ。


 


 たとえば「契約書や文章は統一したフォーマットにして英文にしろ」だとか、「商談や会議は英語にしろ」だとか、「労働者の雇用形態や労働協約を米国と同一にしろ」だとか、様々な社会的な仕組みに対して米国流への同調を求められかねない。


 日本独自の文化や慣習を米国の投機家たちによって壊されることに対して警戒しないのはなぜだろうか。隷米政治家や経済人たちにとってはその方が心地よいのだろうか。マスメディアはTPP参加を煽るよりも、TPP参加以後の世界の実態について報道すべきではないだろうか。その実態とは一歩先に米国とFTAを結んだカナダや韓国を見れば明らかだ。



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