消費増税ほどの愚策はあり得ない。

  日本経済はバブル崩壊以来失われた20年と呼ばれる長いデフレ経済に苦しんで来た。その間、企業は簡単に利益を手に入れるために労賃の安い海外へ移転し、国内経済は空洞化の嵐にも見舞われていた。


 日銀がドルやユーロに負けない大胆な貨幣供給を行い、やっと円高是正に本腰となり、120円から80円を越えるまで進行していた円高が100円近くまで円安になった。しかし依然として円高水準にあることは間違いなく、ドルやユーロの「家庭の事情」による円高要請に付き合う環境にない。


 


 しかし、民主党政権は政権運営の未熟さにより財務官僚の「省益あって国家なし」を絵に描いたような「消費増税」を買って出て、同じく官僚政治の権化・自公と野合して「消費増税」を強行してしまった。


 彼らは橋本政権時代に3%から5%へ僅か2%消費税を引き上げただけで恢復期にあった景気が失速したのを憶えていないのか、まだ恢復期にすら到達していない景気を鑑みることもなく8%にしようとしている。狂気の沙汰というしかない。


 


 企業投資が63兆円程度と停滞していたが、やっと70兆円と回復傾向を見せ始めたが、それらは主として生産設備の維持・管理のものでしかない。景気を押し上げる牽引力となるには新規生産設備への投資が必要で、それにより雇用吸収力が発揮される種類の投資がなされなければならない。


 企業が競って海外へ移転した生産設備を国内に回帰させることが何よりも必要だ。新自由主義者たちがグローバリズムと囃したてた「企業の海外展開こそが国際化だ」という呪文をマスメディアも新自由主義者の走狗となって国民に吹聴して回った。企業の海外移転は国内産業の空洞化を招く元凶だと知った上での策謀だったのか。果たして国内雇用は惨憺たる状況に陥った。


 


 アベノミクスと囃したてている連中は国内経済にいかなる実効があるのか説明して頂きたい。紙幣増刷による金融緩和がデフレ経済による症状に対するオールマイティの特効薬であるわけがない。


 円安はGDPに占める14%に過ぎない貿易に関与している産業への景気刺激策でしかないことを忘れてはならない。しかも輸入価格が上昇する甚大な副作用をもたらすことも忘れてはならない。


 


 いうまでもなくGDPに占める最大のものは個人消費だ。その個人消費を促すモノは社会セイフティネットの構築であり、雇用の拡大だ。たとえ失業しても最低限の暮らしが送れる保障がなければ、人は貯蓄に走って消費は拡大されない。そして雇用の拡大を図るには企業の国内投資を促進するしかない。


 だから投資減税、とりわけUターン投資減税を提唱してきた。海外移転がいかに安直にして愚かな経営選択かを、日本の経営者たちも中国の反日暴動やタイの洪水や東南アジア諸国の電力事情で少しは学んだはずだ。


 


 アベノミクスなる景気回復に実効のない、むしろ副作用の大きい円安政策が実体経済に影響を及ぼすとすれば円安により企業投資の国内回帰を促すことだ。その段階を迎えて雇用が改善され、併せて社会セイフティネットの整備によりたとえ失業しても餓死しない、老後も何とか生きていける、という環境を作らない限り少子化社会も改善されないし、個人消費が拡大することはない。


 その前に消費増税を実施すればどういうことになるか、少しでも経済学を学んだ人なら自明の理だ。底なし沼のようなデフレ経済に日本国民を突き落とし、円安による副作用の物価高が生活を直撃する、スタグフレーションが日本を見舞うことになるだろう。



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