選挙で問われるべきは「新自由主義」か「修正資本主義」かだ。

  野放図な資本主義は極端な格差社会を招いた。日本でも戦前は「規制なき社会」で中産階級の少ない一握りの資本家とその他大勢の労働者に分かれていた。


 それがどんな社会だったかを知るには小林多喜二の「蟹工船」や中野重治の詩を読むと良い。かつて大竹しのぶが熱演した映画「野麦峠」は製糸工場で働く女工哀史を描いたものだった。


 


 戦後GHQが絶対権力者として財閥解体や農地解放などを強引に推し進め、日本の一握りの資本家たちを解体してしまった。ただGHQの絶対権力に尻尾を振って取り入ったのが官僚たちとマスメディアだった。彼らは戦前のまま解体されることなく、終戦直後は進駐軍GHQに仕えて民主主義の先兵面をした。


 しかし戦後の日本社会が民主主義国家として共産化することもなく巨大な中産階級の出現により安定的な社会を構築したのは「修正資本主義」政策によるものだ。修正資本主義を是とした日本社会のあり方を持続させるために様々な「規制」が作られた。


 


 農地法も派遣規制法などもそうした「資本」の一極集中を防ぐ手立ての一つだった。物事には必ず表と裏がある。農地解放によって一握り地主が大勢の小作人を使って更に富を増やして農地を買い占めるのを防ぎ、小作人に小作していた農地を傘一本程度の値段で強制売却したことにより大勢の自作農が出現した。それにより農家が多く存在する地域は保守勢力の基盤へと変貌した。


 都市労働者たちも「タコ部屋」などの劣悪な労働環境から「規制」により守られ、労働三法などにより労働者の権利が守られ「総中流意識」を形成して安定的な社会を作って来た。


 


 だから新自由主義者が唱える「規制は悪」で、規制を撤廃することが改革だ、というのは間違っている。派遣業規制を撤廃したことによって、労働者の流動化は一気に進んだ。その流れに乗って派遣業者が全国に出現し経営者たちは「安易に首を切れる労働者」を歓迎したが、それは現代版の「タコ部屋」を作ることになった。


 日本が高度経済成長を果たしたのは「終身雇用制度」によって労働環境が安定化し若い労働者が結婚し子供を生み育てたからだ。現在の少子社会を解決しなければ日本経済の成長は見込めない。


 


 安定的な社会が最大の少子社会対策だが、同時に子育てを国家事業として捉えなければならない。劣悪な労働環境に置かれている派遣社員や一時的な雇用者たちに法の網をかぶせて守らなければならない。しかし新自由主義者たちはTPP参加により米国ハゲ鷹投機家たちの意のままに日本国内法を変えられるISD条項で日本社会と日本の労働者たちをハゲ鷹投機家たちの餌として投げ与えようとしている。


 ネジレにより新自由主義者たちの意のままに変えられるのを防いでいるが、国民は参議院選挙で自公勢力に勝たせ、参議院の重要な役目を放棄させるのだろうか。もちろん社会保障制度も新自由主義者たちにとっては目の上のたんこぶだ。彼らの概念では社会保障すらも商売の道具として存在すべきなのだ。医療保険制度を民間の保険会社に運用させると、投機家たちにとってどれほど巨大な富を手にすることが出来るかと考える。彼らにとって最大の「規制の山」は社会保障制度だ。


 


 アベノミクスと浮かれている場合ではない。その背後で進行しているこの国の社会制度を改悪しようとするタクラミが着々と進んでいる。ブラック企業経営者と目されている候補者すら登場している。


 バラバラになった野党各党はバラバラのままに「敵の正体」が何なのかも解らないままワーワーと騒いでいる。まるで「選挙ごっこ」の遊びのようだ。それでは野党の大敗が目に見えるようだ。


 野党各党は一致結束して新自由主義と対決すべきだ。この国が戦後社会を安定的な生活社会として構築して来た「修正資本主義」から「新自由主義」へ変貌するのか否かの岐路に立っていることを認識すべきだ。それは1%の富める者と99%の貧困層の存在する戦前の日本やマルクスが「資本論」を著した19世紀英国社会の再現に他ならない。



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