未だに「財源の裏付けのない」子供手当や最低保障年金と批判するマスメディアの愚かさ。

  財源の裏付けとは何だろうか。何か事業をするのに必要となる財源を確保できていないというのなら、殆どの行政事業は財源の裏付けはない。かろうじて財源の裏付けがあるのは揮発油税などを財源とする道路事業などだ。


 そうした直接的な事業支出に対する財源のない事業の財源として「税」があるのだ。つまり子供手当や最低年金制度などの財源とすべきは「税」であって、それでは「税」が膨らむばかりではないか、というのは優先順位を定めて、順位の低いものは事業廃止することにより財源を回して実施するのが政治だ。


 


 財源がない、という批判は耳にタコが出来るほど聞かされた。しかし、それは現行行政支出をすべて必要だと認める硬直的な行政を前提としたものでしかない。


 この国のマスメディアは現行行政が施行している制度事業のすべてが必要なものであり、一切の改編を認めないという立場なのだろうか。それなら新規事業に対して「財源がない」という批判は当てはまるだろう。しかし、そうした立場ではこの国の行政は硬直的にならざるを得ず、行政の構造的な改革など出来はしないだろう。


 


 電源開発事業と称する原発推進事業は電力会社から徴収する電源開発費を財源としている。しかし本来の電源開発は原発だけではないはずだ。財源論がいかに誤ったものか、本質的な議論から始めなければならないだろう。


 揮発油税も道路財源に特化して考えるのもいかがなものだろうか。一般財源化しろとはいわないまでも、環境対策費の財源に一部を回してもおかしくはないだろう。


 


 民主党が2009マニフェストに掲げた「子供手当」や「最低保障年金」を財源なき非現実的な政策だったと、2009マニフェストの息の根を止めるような論評を産経新聞は掲げているが、それこそ硬直的な行政支出を是認するものでしかない。


 少子化社会で経済成長するのは容易なことではない。国力も基本は人口だ。この国にどれほどの人口規模が適切かを問う人もいるが、現行行政制度は現行人口規模を前提として設計されている。だから現在1臆2千万人の人口を抱える日本の社会インフラは1臆2千万人分のものが用意されている。


 


 今後50年後に人口が半減するというのを容認するなら、それに従って国土整備を設計しなければならないだろう。不要となって切り捨てられる地域に通じる道は整備する必要はなく、橋が崩落しようと架け替える必要はないだろう。そこに人が住むのを禁じれば良いだけだ。


 しかし山が荒れ、河川が整備されなくなると下流域の都市部は乾季には水に困り、雨季には慢性的な鉄砲水に襲われるようになるだろう。この国の整備をどうするのかは困難な課題だ。人口減社会では問題は発展的に解決することはない。問題は深刻化し何かを諦め忘れることでしか解決できない。


 


 江戸時代を通じて人口は約3000万人だった。この国の国土を利用した当時の農業生産性による農業産品だけで養える人口の上限が3000万人だったということだ。現行は農作業の機械化や農薬の発達により農業生産性は江戸時代と比較して飛躍的に上がっているが、耕作農地も耕作放棄地や宅地化などにより激減している。農産品の自給率が消費金額ベースで67%程度と低いのも当然といえば当然だが、それで悲観的になる必要もない。農産品の供給が需要を下回れば価格は上昇し、新たな農地が開発されて農産品の供給地になるだろう。それが経済というものだ。


 


 この国の適正人口規模を定めて、そこに達するまで少子化を放置するというのは誤った考え方だ。あらゆる社会の制度設計は静的な人口動態を前提としている。だから年金などで官僚は一人の老人を何人の勤労者で支えるのか、といったモデルを示して国民を「税を増やさなければ年金は破綻するぞ」と脅迫している。しかし、前もって少子化が分かっている官僚たちが今になって国民を脅すのは意図的でしかない。


 


 官僚たちの論理をそのまま是認して政策運営するのなら自公政権の政策を是認することになる。まさしく自公政権こそは官僚主導の政治だからだ。


 それに異を唱えたのが2009マニフェストを掲げた民主党ではなかったか。それをブッ潰したのは官僚の広報機関紙になり下がっているマスメディアではなかっただろうか。国民はマスメディアが書き立てる記事を頭から信用してはならない。財源などは政策の優先順位の問題でしかない。最低保障年金が非現実的だと批判するのは高額年金の存在を是認しているからに他ならない。


 


 すべての年金を一律支給とした場合の金額を弾いて国民の前に提示してみてはいかがだろうか。それこそが最低年金保障制度の議論の出発点ではないだろうか。


 最低保障年金をすべての65歳以上の老人一人当たり7万円を一律支給として、その剰余を子供手当の財源の一部とす、という考えがあっても良いだろう。現行では6700万人の国民は満額支給でも6万6千円の国民年金に加入している。それなら一律支給額を8万円に設定すれば大きな改善ではないだろうか。厚生年金の平均支給額は16万円だが、それは夫婦での金額だから、同じことになる。ただ共済年金は23万円から大幅に下がることになるが、社会保障とは「応能負担で一律支給」が大原則だ。年金の一律支給は社会保障の原点へ戻ることで、何も大改革ということではない。


 


 民主党はチマチマとした人事で大敗の原因追究を誤魔化してはならない。政策軸の大きなブレが国民に失望を与えたのだ。なぜ2009マニフェストに掲げた政策を放棄したのだろうか。官僚たちの抵抗は先刻承知のはずではなかったか。マスメディアが叩くのも想定の範囲ではなかったか。なぜ堂々と政策論争を展開して国民を説得しなかったのだろうか。


 


 自公政権が新自由主義路線だというのは明確だ。つまり1%に奉仕する政治だ。それで99%の国民が幸福になるわけがない。民主党は99%の国民に側に立つ政策を提示することだ。そのためには「消費増税」をリトマス紙にして政治家を識別する必要がある。「消費増税」こそは新自由主義者たちの選択だ。99%の国民を痛める政策でしかない。税は応能負担とすべきが税本来の富の再配分機能にも適うものだ。「消費増税」に賛成した国会議員には民主党から出て行くか分党してもらうべきだ。そして「消費増税」に反対して離党した人たちには三顧の礼を以て復帰してもらうべきだ。それが新生民主党の再出発点になるだろうし、それ以外に民主党の再生も健全野党の結集もあり得ない。



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