成長戦略とセットで「消費増税」を断行せよ、とは経済を御存じないのか。
高村副総裁が「成長戦略とセットで「消費増税」を断行せよ」と発言したようだ。副総裁ともあろうお方が経済を御存じないのだろうか。
経済成長を推進する最高出力のエンジンは個人消費だ。GDPのおよそ半分を占める。その最大のエンジンを冷え込ます「消費増税」を成長戦略と同時に行え、とはアクセルとブレーキを同時に踏めというようなものだ。ご高齢の政治家に失礼だが「この猛暑と集中豪雨で常軌を逸しているのか」と声を掛けたい。
高村氏だけではない。安倍政権の閣僚にも「消費増税」を確実に実施する、と安倍氏がよほど頼りないのか首相に成り代わって宣言している。それなら参議院選挙で「景気動向などを見て10月に判断する」と思わせぶった発言をしないことだ。
黒田日銀総裁は政府閣僚の一人にでもなったつもりなのか、「景気回復」振りを国民に印象付けるのに腐心しているが、金融の番人として逸脱した行為ではないだろうか。日銀の独自性が問われかねない軽佻浮薄な言動は慎むべきだ。政府委員の一人になり下がった矜持なき日銀総裁など顔も見たくない。日銀の面汚しではないだろうか。
消費増税に対して国民は節税など出来ない無力な存在だ。貧乏人ほど家計に占める支出割合が増える食糧費を削減するわけにはいかない。消費税が逆進性を指摘される所以だ。
その逃げ場のない税に可処分所得を削り取られ、いかにして個人消費が増大するというのだろうか。ちなみに勤労国民平均所得はここ十数年も減少の一途をたどっている。年金所得も削られることになった。生活保護費も削られることになった。何処をどう押せば経済成長できるというのだろうか。
政府はここにきてやっと周回遅れで投資減税を協議するという。6月の企業統計では前年比設備投資は減少している。なぜ早い段階で雇用対策たる設備投資減税を積極的にしなかったのだろうか。
すでに「円安」による輸入価格上昇が国民経済に具体的に影響を与え出している。最も恐れていた成長なきインフレが始まった。やがて景気後退期のインフレになると、更に厳しく国民生活を直撃するだろう。それでも「消費増税」を来年四月から実施すべきだと主張するのだろうか。安倍政権は一体誰のための政治を行おうとしているのだろうか。