新自由主義者たちの「官から民へ」という掛け声の正体を見極めよう。

  小泉構造改革は「官から民へ」という掛け声の下、郵政民営化を果たした。そして消えた年金騒動の間に、社会保険庁が消えて日本年金機構へと改組された。


 それぞれとも一連のゴタゴタ騒動に目を奪われていたが、肝心の「官僚たちの犯罪」はどうなったのか、問われ仕舞いだ。政治家の誰一人としてそこに光を当てようとしなかった。いや、いたのかも知れない。しかし、その声を上げる前に圧殺されてしまったのだろうか。


 


 思い出して頂きたい。郵政民営化の陰で何が行われていたのかを。全国にばら撒かれた「官僚たちの利権団体」たる「簡保の宿」や「--スパウザ」や「--郵政貯金会館・ホール」などがどのように処分され、国庫にいかほどの入金があったのか、国民は最終的な収支報告書を目にしただろうか。


 同じように社会保険庁から日本年金機構へ改組・移行される中で、全国の「ーー厚生年金会館」や全国の「グリーンピアーー」や年金基金の投資による全国の公的施設の売却価格10500円により地方自治体への譲渡などが盛んになされたが、それらの最終決算報告書を国民は目にしただろうか。


 


 何かがない限り、官僚たちが莫大な利権を容易に手放すはずがないと考えるのが順当だ。そうすれば当時大蔵省が盛んに郵貯資金の有効活用と称して行っていた「財投」は結果として民営化の段階でどのように新会社に「投資資金」として受け継がれたのか、一ヶ所として投資資金が不良債権として処理されたと寡聞にして知らないのは不思議でならない。たとえば『石油開発公団』は不良投資の山を築いていたはずだが、民営化による引継ぎの段階でそれが議論されたことも国民は知らないし、誰一人として総括表を目にしていない。そして民営化は行われ、民間監査法人による監査がなされているはずだが、監査法人が「不良投資」の指摘をして大問題となっていないのも不思議でならない。当時、大蔵省が行っていた「財投」はすべて健全な債権として新民間企業に引き継がれたとでもいうのだろうか。


 


 同じことは年金基金についてもいえるだろう。150兆円近い基金をみすみす官僚が手放すにはそれ相当の「利益」が官僚たちにあったと考えるのが順当だ。


 当時問題になった「損失補填」は年金基金の株式投資の損失を証券会社が「付け替え」て消したことが問題と指摘されたが、それは結局有耶無耶のうちに問題が消えた。それでは日本保険機構へ移行した段階で基金運用はすべて「健全債権」で、問題のある不良債権は一つも存在しなかったとでもいうのだろうか。


 国会で「消えた年金」に目を奪われている間に、知らぬところで処理され、日本保険機構には「不良債権」は秘かに償却されて受け継がれたのか、国民は何も知らされていない。


 


 かつて中曽根内閣時代に行われた国鉄の分割民営化は実は共済年金を救うためだったといわれている。つまり戦後引き揚げ者たちを大量雇用したものの、退職年齢に達し年金支給時期になったが、彼らの共済年金を支払う原資は国庫になかった。それで当時の積み立て方式により潤沢な資金を有していた厚生年金に国鉄職員を潜り込ませることにより、共済年金基金の破綻を未然に防いだと指摘されていた。まさしく国鉄民営化の根本的な動機はその通りなのだろう。そうでなければみすみす巨大な官僚利権の一つを官僚たちが手放すわけがない。


 


 医療保険や年金や介護などの国家が「社会保障」として行っている事業規模の巨額さはハゲ鷹投機家たちにとって垂涎の的だろう。それらを民間企業で行えるなら、そり民間企業に自分たちが投資しているなら巨額な利益配当が期待できる。それも毎年、日本国民から各種保険料として徴収して。


 ただし、万が一にも民営化したならハゲ鷹たちは容赦ないと思うべきだ。無保険者たちは病院へ搬入されても処置されないまま廊下にねかされて死を待つしかない。老齢化した無年金者たちはドッと生活保護へなだれ込むしかないだろう。格差は拡大され、富める者は社会インフラの恩恵を受けるが、貧困層は社会の日陰で困窮のまま死ぬばかりだ。それが新自由主義者たちの主張する『自己責任』社会のあり方だ。


 


 官僚たちが利権を手放す時、彼らは何かを反対給付として手にしている、と考えるべきだ。ある時は自分たちが貰う共済年金制度の維持と引き換えに、ある時は財投融資の巨額な穴とその追求が官僚機構に及ぶのを防ぐのと引き換えに、と考える方が説明がつく。


 安倍政権がハイパーインフレ覚悟で「異次元」の金融緩和に踏み切ったのも、それを米国が容認しているのも、この国の1000兆円に達しなんとしている巨額な国債をマトモな金融理論では返済不可能と日米当局者が判断したためではないだろうか。


 返済する唯一の手立てはハイパーインフレだ。戦後のハイパーインフレにより、日本政府は戦時国債の巨額な返済から解き放たれた。今回もそれを国際金融も容認したことから『金』が高騰しているのではないだろうか。それなら官僚たちが巨額な国債償還圧力から解き放たれるために、米国のハゲ鷹たちに日本国民の社会保障制度を投げ与える約束をしていると考えるのもあながち荒唐無稽な話ではないだろう。


 


 しかし、そうしてはならない。この国は日本国民を守るために存在している。官僚たちを守るために存在しているのではなく、ましてやハゲ鷹たちの餌として存在しているのでもない。この論評が単なる「真夏の夜の悪夢」でしかないことを祈るしかないが、今回の選挙で新自由主義者たちを勝たせて、この国は何処へ向かうのか、安倍政権は果たして日本国民のために政治権力を行使しているのか、すべては明らかになるだろうが、その時既に遅しであってはならない。そう祈るばかりだ。



このブログの人気の投稿

それでも「レジ袋追放」は必要か。

麻生財務相のバカさ加減。

無能・無策の安倍氏よ、退陣すべきではないか。

経団連の親中派は日本を滅ぼす売国奴だ。

福一原発をスーツで訪れた安倍氏の非常識。

全国知事会を欠席した知事は

安倍氏は新型コロナウィルスの何を「隠蔽」しているのか。

自殺した担当者の遺言(破棄したはずの改竄前の公文書)が出て来たゾ。

安倍ヨイショの亡国評論家たち。