中国経済がいよいよ変調をきたしている。

  上海金融市場の短期金利が13%を超えたとして中銀(中国中央銀行)が金融機関に資金手当てに注意するように警告している。しかし実態はもっと深刻でオーバーナイト(一晩だけの銀行間取引)市場金利は6/23には30%に達し、中銀が銀行に資金注入したと噂されている。


 こうした事態が発生したのは中国の貿易が中国本土と香港間で「空取引」を行い、名目貿易額を異常に膨らませているのではないかと当局が調査に乗り出した結果、4倍近く実態貿易額よりも金融決済額が多いことが判明している。つまりその差額が香港金融市場から中国本土へ投機資金として流れ込んでいたと考えられ、当局が金融引き締めをほのめかしたために短期金利の上昇が起こったようだ。


 


 中国の金融政策は困難な局面に到っている。先日地方政府が勝手に発行した地方債が29兆元(464兆円)に達し、それが中国バブルの元凶だとして中銀が全国の金融規律を守るために金融引き締めを示唆した。同時期にFRB(連邦金融理事会「米国の中央銀行」)バーナンキ議長が長期的に金融を引き締めると宣言した。それにより中国に流れ込んでいた世界の投機資金が絞られ、あるいは引き上げに転じたことも中国内の金融機関の資金手当てが急激に厳しくなった要因の一つに挙げられる。


 


 しかし問題の本質は中国内の不動産バブルにある。地方政府が中央政府に対して「好調な経済」を演じるために不動産建設投資を行って「新品の街ごと廃墟」を造り、それもGDPにカウントしてきた。


 好調な経済を報告することで地方政府の幹部が出世して中央政府で要職に就くことが流行となっていたのも地方政府が野放図な不動産投資を行う原因になっていた。中国経済の実態はまさしくバブルそのものだが、そうした地方政府の野放図な振る舞いが許された背景も注視しなければならない。


 


 地方政府はその地方政府を所管する軍区の「人民解放軍」幹部と癒着していなければバブルの不動産投資もできないことだ。「新品の街ごと廃墟」を造るにもそこに暮らしている住民を退去させ、農地を接収しなければならない。そのための権力行使は公安警察のみならず軍の力を背景にしなければならず、地方政府と人民解放軍の癒着があるとみなければならない。


 中国全土で1000人規模以上の人民による抗議行動が年間20万件に達している、という報告があるほど、中国は全土で治安維持に全力を注ぎこまなければならない状態になっている。いつ中国全土の暴動が一体化してもおかしくない、そうすれば中央政府でコントロールすることは困難で、中央政府は地方が人民軍とともに解体するのを止めることが出来なくなる恐れがある。


 


 日本のバブル崩壊は金融システムの大掛かりな「調整期間」に過ぎなかった。それにより不良債権化した不良資産の損切り処分と金融機関の健全化に政府は腐心しただけだった。しかし中国の場合は金融ハステムの調整にとどまることはないだろう。金融バブルの崩壊は中国民の異常な格差に対する堪忍袋の緒を切ることに繋がるだろう。日本ではバブル崩壊は金融の問題が当然のことながら経済に及んでデフレ経済をもたらしたが、中国の場合は日本のバブル150兆円規模とは比較にならない規模(地方政府発行の地方債の60%が不良資産化すると見られている。つまり280兆円規模で日本の倍近い)だけに、その影響が深刻なものになるのは想像に難くない。


 


 すでに米ニューヨーク株式市場は下げたし、EU株式市場も下げた。上海株式市場は暴落し5%も下げている。中国金融市場の変調はマスメディアに報じられることはなぜかほとんどないが、すでに銀行間取引のオーバーナイトは破綻寸前の様相を呈している。いや、実際はすでに破綻しているが、それをATMの故障だと言い繕っているだけかもしれない。6/24の一時、中国商工銀行のATMが機能停止し、現金の引き出しが出来なくなった。中銀が秘かに緊急融資したとの話も漏れている。


 日本政府はそうした情報を中国進出企業に対して適宜流しているのだろうか。バブル崩壊が起これば日系企業へ暴徒が押し寄せ、略奪と破壊が行われるのは目に見えている。日系邦人に対しても外務省は経済情報を流し危険を避けるように子女の帰国を促しているのだろうか。一向に見えてこない日本政府の動きの緩慢さに、歯軋りしているのは私だけだろうか。



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