チマチマとした選挙目当ての「三本目の矢」では成長戦略たり得ない。

  三本目の矢として安倍政権は「女性への配慮」を示している。そのことに反対するものではないが、成長戦略の「三本目の矢」というよりも「女性参画社会」の実現と呼ぶべきではないだろうか。


 求職者に対して求人数が少ない現在の雇用状態で女性の離職者を減らし再雇用を促す政策では派遣社員や非正規社員の職を奪うだけだ。つまり雇用というパイそのものをまず増大する政策こそが必要なのだ。


 


 安倍氏がセールスマンとなって海外を飛び回って原子炉受注や営業努力するのは選挙目当てとしては有効かもしれない。しかし政治家としてはどうだろうか。


 首相が受注した原子炉建設の保障は政府が、つまり国民の税で行うことになりはしないだろうか。民間でできることは民間で、というのが政経分離の大原則ではなかっただろうか。マスメディアは一切批判しないが、無批判なマスメディアがこの国を滅ぼすのではないかと懸念する。


 


 トヨタ自動車が中国でHV車用電池生産工場を合弁企業で建設するという。国内から重要な技術・特許と同時にまとまった雇用が海外へ流出する。政府は一体何をしているのだろうか。


 中国は既に経済環境としてはピークを過ぎた国だ。しかも「反日教育」によって中国民は事あれば日系企業を焼き討ちにする。そうした国に企業移転するトヨタの世界戦略は理解できない。


 


 政府はなぜ国内企業に生産拠点の国内回帰を促さないのだろうか。なぜ大胆なUターン投資減税を実施しないのだろうか。現在ですら中国に日系企業は2万数千社も進出している。日系企業が直接雇用している雇用数は400万人を超え、関連企業まで含めると2000万人に達する。


 それらのすべてといわないまでも、50%でも国内回帰すれば就職難は一気に解消する。女性の社会参画を促すまでもなく、企業が出産などで離職した女性を呼び戻すようになる。企業収益が改善されれば政府が保育園の増設を促すまでもなく、企業内に働く女性のために保育園を開設するようになる。


 


 国家の基礎体力が人口にあるように、経済の基礎体力は雇用数の増加だ。目先を奪う「先端技術」だとか「医療機器」だとかの必要性ももちろんだが、雇用数の増大にそれほど大きく寄与しない。国民経済全体の基礎体力を持ち上げるには海外移転した企業を国内にUターンさせることだ。


 中国内に進出していた米国企業は陸続と米国本土へ回帰している。中国国内経済が今後悪化することを読んでのことだろうし、消費地としての中国市場の魅力が以前ほどの輝きを失うと読んでいるのだろう。事実、米国のファンド会社ゴールドマン・サックスが保有していた中国の銀行株をすべて売却している。


 


 習近平体制が盤石とはいえない中国政府が今後とも広大な版図を支配していけるのか。既に地方政府が勝手に発行した地方債が焦げ付き始めているという。


 そもそも中国は軍閥が群雄割拠していた国だ。キチンと彼らに分け前を与えている間は文句を言わないが、分け前が行き渡らなくなるとたちまち「唯我独尊」体制に移行するのにたいして躊躇しない国だ。そうすると日系企業の資金や設備がまず略奪の標的にされるのを覚悟しておかなければならない。


 


 そうした危機管理と同時に国内経済の成長戦略のためにUターン投資減税策は緊急性を要する。海外を飛び歩いて商売の手助けをして財界の機嫌を取り、女性の耳に心地よい政策を耳元で囁くのは真っ当な政治家のやることではない。


 国民経済の基礎体力を取り戻すことこそが「日本を取り戻す」ことだ。



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