改めて「未来への投資」の必要性を説く。
昨日(3/26)厚労省が2040年の日本の人口予測を出した。それによると現行の出生率1.39のまま推移すると現在の1億2800万人が1億700万人になるという。
人口が2200万人も減少するだけでも社会に大きな影響を及ぼすが、問題は年齢別の人口ピラミッドが下すぼみの状態のまま痩せ細っていくことにある。地域によっては人口の半分以上が60歳以上というところも出てくる。
人口減社会はデフレ社会でもある。縮小再生産の世の中では絶えず生産手段が過剰、もしくはモノが需要を上回って溢れている世の中だ。
適切な競争がないばかりか、経済成長もなく出口の見えない不況が続くことになる。勤労者数の減少もさることながら、消費も冷え込んだままとなり、税収は減少の一途をたどる。
社会インフラの維持すらできない状況が常態化し、道路や橋梁は使用限界を超えて通行不可能な道路が全国に広がって行くだろう。上下水のインフラも維持が困難になるだろう。
少子社会の先にはそうした暗澹たる未来が待ち構えているだけだ。それを解消するには大胆な移民を受け入れるか、少子対策として「いま」未来への投資たる子供手当を実現することだ。
民主党が2009マニフェストでお手本としたフランスの少子対策は徹底していて、子供手当もさることながら働く女性の支援策を様々な観点から整備している。その結果としてフランスは出生率が2.02になり人口減社会から脱却した。
日本ではマスメディアが官僚の意を受けて先陣を切って子供手当を「バラ撒きだ」と徹底して批判した。当初掲げた子ども一人当たり月額2万6千円の半額を1年ばかり実施しただけで「子供手当」は姿を消してしまった。
未来への投資を怠った社会に未来はない。この国の快適で安全な国民生活を約束する膨大な社会インフラを支えるための適正人口規模がどれほどかは社会学者の需給予測を待っても良いが、少子社会への坂道を頃が゛り落ちている日本に悠長に議論している余裕はない。
民主党憎しだったのか、それとも5兆円規模の予算でありながら「子供手当」が直接支給のため官僚の利権に少しも寄与しないため、保育園の充実などに問題をすり替えてしまったのか、マスメディアが批判の嵐にさらして「子供手当」をぶっ潰してしまった。その罪たるや万死に値する。
その「子供手当」批判を繰り広げた同じコメンテータがテレビ番組で、厚労省の2040年人口予測ニュースでは深刻な顔をして少子社会への警鐘を鳴らしていた。まさしくその場限りの口先人間そのものだ。そのような連中が大きな顔をしてテレビに登場しているようではこの国の子未来も暗いと言わざるをえない。