日本は独立国家なのか。

  オバマ氏と安倍氏は一時間余のワーキングランチを摂った後、「聖域なき関税撤廃をあらかじめ予定しているものではない」という共同声明を発表した。さっそくこの国の隷米マスメディアは「これでTPP参加の流れは出来た」と歓迎している。


 独立国家の三条件の一つが「関税自主権の確立」であったが、それは歴史の遺物として過去のものになったのだろうか。日本には独立国家のもう一つの「軍事統帥権の確立」も米軍に委ねているし、最後の一つ「徴税権」も米国の「行政要請書」に盛られた要望という圧力に屈して、民主党は「消費増税」を決めた。


 


 確かに「独立国家」とはいえども世界の国際関係の中で生きてゆくしかない。超然として一国だけが国際社会から浮遊して存在しているわけではない。互いに影響を及ぼしながら、互いに協力し合ってより良い国際社会の構築へ向かって努力すべきなのは論を俟たないが、日本の対米姿勢は「対等な国家関係」とは言い難い従属関係にあると認めなければならないだろう。


 


 親分乾分の関係のどこが悪い、近隣諸国にならず者国家がウヨウヨしているから、攻撃軍備を持たない日本は米国の攻撃力に頼るしかないだろう、という反論が聞こえる。しかし米国と米軍は日本のために存在しているのだろうか。


 TPPの本質的な問題点は「聖域なき関税の撤廃」もさることながら、その衣の下に見え隠れするISD条項にある。投資家保護を目的とするISD条項はあらゆる「日米格差」に対して提訴される糸口を与えることになる。


 


 たとえば日本の医療制度が米国の医療進出や薬品進出を阻んでいる、と提訴されれば、日本の非関税障壁だと投資家が世界銀行傘下の紛争解決センターへ提訴すれば投資家対国家間の紛争として裁定を下すことになる。


 世界銀行は実質米国の機関の一つとみなしても良く、米国のハゲタカ投機家たちの提訴があれば米国の意に従う「紛争解決センター」が解決に乗り出すというのだ。それが解決なのか、TPP参加国を米国の州の一つにしようとする意図なのか、明らかだろう。


 


 米国により良い様に振り回されるのはいい加減卒業しようではないか。米軍が日本国内の基地にいても今日の緊張関係がますます悪化していることに鑑みて、それでも米国との軍事同盟が日本の国益にとって「最良」の選択なのだろうか真剣に検証しようではないか。


 


 緊急事態により、以上の論述と脈略のないことを書かざるを得ない。テレビで記者上がりの老政治評論家が「民主党からまた離党者が出たが、小沢さんが悪い癖をつけたな。意見が合わないからといって大量離党したものだから、ボロボロと離党者が出てくる」と発言した。


 テレビだから何を発言しても良いというものではない。事実関係を踏み違わないように注意深く発言しなければならないのは電波という公器を利用する者に求められる最低限の倫理だ。小沢氏が自ら離党したのではなく、離党するように仕向けられたのではなかっただろうか。しかも「消費増税」は民主党の2009マニフェストの政策になかった異常事態だ。生活弱者を直撃する、デフレ経済下にあっては選択してはならない政策のはずだ。そうした愚かな政策選択を総務会で民主的な議論もないまま前原氏が強行に取り纏めた民主党の暴挙だ。それを批判しない記者上がりの政治評論家こそ引退すべき老醜をさらしているといわざるを得ない。この国のマスメディアは腐り切っている。


 


 マスメディアが腐り切っているだけなら勝手に腐敗臭を発して滅びていけば良いだけだが、国民世論を誘導して国民を道連れにするから問題なのだ。そしてギャラに釣られた御用評論家たちがテレビで異口同音に隷米発言を繰り返す。


 日本が真に独立国家となるにはマスメディアの独立性こそが必要なのだが、GHQが巧みに一極支配構造を構築したこの国の「大本営発表拡散機関」たるマスメディア世界はなかなか崩れそうにない。TPP参加反対意見も国民の多数意見から徐々に後退している。日本は米国の属国として生きるしかないと考えている人たちによって誤った方向へとこれからも進むようだ。本当に心底困らないと覚醒しない人たちなのだろうか。



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