ワーキングランチは親しさの表れか。
マスメディアは安倍氏に対する米国政府の扱いのひどさを必死に弁解している。たとえばフランスやイギリスの首相や大統領が訪米して、歓迎レセプションもなければ会談後に共同記者会見もない、ということは考えられない。
中国の主席が訪米しても下にも置かないほどの持て成しをするが、日本の首相が訪米しても米国政府は特別な歓迎行事はおろか、会談もワーキングランチと昼飯を食いながら一時間ほど話して終わりというのだ。それが「日米関係を強固なものにした」と安倍氏が得意満面な笑みを浮かべて話すほどのことだろうか。
TPPに関しても「参加に当たって聖域なき関税撤廃を予定したものではない」という玉虫色の発言を引き出して安倍氏は「TPP参加に結論を急ぐ」と欣喜雀躍状態に陥っているが、聖域なき関税撤廃ではない、と言った訳ではない。しかも共同記者会見でも共同宣言でもない、玉虫色の記者会見だ。日米当局の話が食い違っていたことがこれまでも多々あったことに鑑みると、騙しでオバマ・安倍会談はお茶を濁そうと一致したのだろう、と勘繰らざるを得ない。
それにしてもワーキングランチは親しさの表れなのだろうか。少なくとも米国が日本を尊重していないのだけは確かなようだ。わざわざ出掛けて行っても、相手の昼飯時間に食いながら話すだけというのは格下相手の対応ではないだろうか。
二国間の重大事を話しに伺って、飯くいながら話そうぜ、と言われるのはマトモな応対ではない。TPP参加で問題なのは、むしろ「非関税障壁」ISD条項だ。投資家による相手国の提訴を日本不在の場で裁定するという米国流押し付けの仕組みにあることは明らかだ。それをこの国のマスメディアのすべてがスルーして、参加は規定路線化したと報じているのか゜問題なのだ。